オーディション番組で前代未聞の合格。その舞台裏
── 甲状腺がんをきっかけに、長年の夢だった歌手を目指してオーディション番組『歌スタ!!』に出演されました。1回目は不合格でしたが、2回目、異例といわれる挑戦で見事に合格、39歳で歌手デビューされて話題になりましたね。
木山さん:あの合格は、僕の力ではないと思っています。2回目への挑戦は、番組では初めてのことで、その理由は、1回目が不合格になったとき、僕が歌った『home(ホーム)』を作ってくれた音楽プロデューサーの多胡邦夫さんが「どうしても諦められない」と、番組制作者に交渉してくれたからなんです。「この曲は、これからの日本に必要とされると思います」って。

番組のルールは、プロと制作したオリジナル曲を1番だけ歌い、1回目で不合格になったら終了、というものでした。でも、僕のときは、不合格後に審査員の方が「もう少し長く聞きたかった」とぽろっとおっしゃって。多胡さんはそのひと言を聞き逃さず、番組で初めてフルコーラスを完成させたんです。夢をつかみ取るためにルールさえ変えてしまったんですよ。本当に夢を叶えようとする人の気合を見せつけられました。
── 多胡さんは、木山さんから夢を一緒に叶えたいと強く思わせるものを感じ取ったのではないでしょうか。『home』は木山さん自身を歌った曲のように感じます。
木山さん:『歌スタ!!』で披露する曲づくりのために、多胡さんには2、3か月のあいだ何度もお会いして、自分の経験や想いをお話ししていました。僕のすべてをさらけ出したと思っています。偶然、多胡さんご自身も第一子が生まれたことが重なって、僕の人生に思い入れをもってくれたのかもしれません。