選手以外の活動も「人生を豊かにしてくれる」

── 昨年12月17日には、イタリアのコルティナダンペッツォで開催されたスノーボードのワールドカップに参戦されました。大会の感想を聞かせてください。

 

竹内さん: 11月の時点ではすごく調子がよかったのですが、その後、体調を崩して喘息が3週間ほど出てしまい、ちょっとコンディションが万全でなく残念でしたね。

 

でも、そんななかでも、14位という結果だったので、自分としては「まずまずかな」と思っています。

 

── 競技は楽しめましたか?

 

竹内さん:そうですね。これだけ長く選手を続けていると、絶好調もあればケガで苦しむときもあって、本当にいろんな経験をしてきました。

 

結果に一喜一憂するときもありますが、いまはそれ以上に「すべてのことから多くを学びたい」、前向きな気持ちが強いので、楽しんで向き合うことができています。

 

── 近年は、選手としての活動にとどまらず、みずからスノーボードの開発や、地域貢献を手がけるなど、分野を超えて精力的に活動されています。

 

竹内さん:現在は選手を続けながら、後進の育成、スノーボード開発のビジネスや町おこし、講演活動など、3足も4足もわらじを履いている状態です。

 

ただ、「二兎追うものは一兎も得ず」ということわざがあるように、複数のものを追うことで、以前のように練習に専念するわけにはいかなくなっています。

 

でも、いろいろな活動を通じて、そこから感じることや得られるものが次の自分の人生をより豊かにしてくれるんじゃないかなと思っています。

 

 PROFILE 竹内智香さん 

1983年生まれ。北海道旭川出身。広島ガス所属。女子スノーボードアルペンの第一人者としてソルトレークから北京まで、6回のオリンピックに連続出場している。 2014年の冬季ソチ五輪では銀メダルを獲得。現在は、選手としての活動にとどまらず、後進の育成やスノーボードの開発、地域貢献など、精力的に活動している。

 

取材・文/西尾英子 画像提供/竹内智香