ダメージを受けやすい「共感力の高い子」

ご相談者様の娘さんも、とても心配です。娘さんは、とてもやさしいお子さんですね。お友だちの行為には困っているけれど、もしも突き放したらお友だちが傷ついてしまうと感じるから、泣いてしまうのでしょう。

 

娘さんには「やさしいね」と声をかけてあげてください。そして、「相手のことを考えてあげられるところはすばらしいけれど、ひとりで頑張らなくていいんだよ」ということも教えてあげてほしいと思います。

 

「カサンドラ症候群」という概念はご存じでしょうか。パートナーや家族が発達障がいであるためコミュニケーションを築くことが難しく、心身の不調をきたしてしまう状態をさします。

 

お友だちが発達になんらかの特性があるかどうかはわかりませんが、大人の世界でも特定の人の言動によって周囲の人が傷つけられてしまうことがありますので、お子さんであればなおさら心を守ってあげる必要があります。

 

とくに娘さんのように共感力の高いお子さんは、理解が困難な相手でも何とかわかってあげようとするため、疲れて心がダメージを受けてしまいやすい。「無理をすることはない」ということを伝えてください。

 

コロナ禍以降、友だちに執着するお子さんのご相談が増えている印象です。私もこの手のご相談を昨年だけでも10件以上受けています。

 

マスク生活となり、私たちは表情からお互いの感情を読み取ることが困難になりました。そのため、とくに小学校低学年の子たちはコミュニケーション力が育っていない傾向にあります。こうした環境もあり、何らかの事情を抱えた子が執着を起こしやすくなってしまっていることが考えられます。

 

このようなトラブルが発生した際は、「今何が起きているのか」といった視点で、その背景にある子どもの状況や事情を見て理解を深め、対応を考えていくことを大切にしていただきたいと願っています。

 

PROFILE 小川大介さん

教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。

取材・構成/佐藤ちひろ イラスト/まゆか!