わが子が人間関係で困っている場合、見守るべきか介入すべきか、判断に悩むケースもあるのではないかと思います。今回は、娘さんを独占したがる学校のお友だちに悩んでいるというご相談。教育家・見守る子育て研究所(R)所長の小川大介先生が、アドバイスします。

 

「執着が凄い『友だちを独占したがる子』を絶対に放置してはいけない訳」P1
「執着がひどい『友だちを独占したがる子』を絶対に放置してはいけない訳」P1

【Q】娘を他の子と遊ばせてくれない女の子…

小学2年生の女の子を育てています。娘の学校に転校生が来たのですが、その子が独占欲や執着心の強い子で、娘を独り占めするので困っています。クラスも同じで、通学路が同じなので、娘は一緒に下校することに。それがきっかけで、それまで娘が一緒に帰っていた友だちをその子が強い口調で追い払ってしまうようになりました。

 

その子は、娘と同じダンス教室にも通い始めたのですが、そこでも、同じく娘を自分だけのもののように扱ってしまうらしく、周りの親御さんも冷ややかな目で見ています。娘もとても困っていて、他の友だちとも遊びたいのに遊ばせてくれない、と泣いています。子どもの成長過程と思って見守るしかないのでしょうか?

「家庭環境」や「発達特性」に関する事情も

非常に心配なお話です。転校生のお友だちの様子は、何らかのケアを必要とする事情が背景にあるのではないかと感じます。

 

安易に決めつけるのはよくありませんが、まずは親御さんがこの子にどのような関わり方をしているのか、気になります。家のなかに居場所がない、自分自身を認めてもらえていないような環境があるのかもしれません。そうした不安感から、安心できるお友だちに執着してしまっているというケースが考えられます。

 

あるいは、発達特性に関して何らかの事情があるのかもしれません。もしそうだとすれば、家庭や学校が特性を理解してきちんとケアができているのか、気になります。

 

いずれにせよ、ご相談者様の娘さんの成長過程のひとつとして見守ればよいというお話ではありません。このお友だちが置かれている状況や背景を周囲の大人が理解し、支えることが重要になります。

 

ご相談者様は、まず学校の担任の先生に「お友だちの言動を変えることは難しいと思うのですが、どうしたらよいでしょうか」と相談をしてほしいと思います。背景にある事情がわかってくれば、きっと対応の線引きができるでしょう。

 

娘さんが頑張って何とかなるのか、ご相談者様の工夫で何かが変わるのか、専門家を含む周囲の大人たちが連携しないと解決しない問題なのか。そういった対応の方向性が見えてくれば、ご相談者様も心が少し楽になると思います。

 

また、保護者同士がつながり、そのお友だちについて理解を深めることも大切です。しかし、ダンス教室では、他の親御さんが冷ややかな目でお友だちのことを見ているとのことですので、保護者間の連携を期待することは難しいのかもしれませんね。

 

であれば、せめてダンス教室の先生には相談しておきましょう。対応力のある先生かどうかはわかりませんが、保護者の方から相談すると、先生も関わりやすいのではないかと思います。

 

「周囲が困ってしまう行動」というのは、実はその行動を取っている本人がいちばん困っているものです。そういった視点を持てる大人が関わっていただけることを願っています。