縁を大事にしつつも、自分で決めていくしかない
── すごく行動的な人生ですね。
藤田さん:
そうですね。悩んだらアクションを取りますね。まずやってみるということをしてきた結果だと思います。
自分の好きなもの、嫌いなものに敏感になっていくと、何が好きか、嫌いかわかります。それを人に言うことも大切です。「私これ好きなんです。これ嫌いです」と言う。すると、「あなた、こっちに来たら?」と人が助言してくれる。そういうところに進んできたように思います。
何が楽しいかは人はわからないから、自分で選んでいくということを繰り返したら、今に至ります。今、幸せかと言われたらとても幸せです。進んだ道が違ったらまた選べばいい。無駄なことは一個もないんです。
── これまで挫折などあったのでしょうか。
藤田さん:
私は大学受験では行きたいところに行けなかったんです。でも、大学にしても、会社にしても、行きたいところに入れないことなんてよくありますよね。そこで、終わったと思う人もいるけれど、その会社がその年に採用していなければ入りようもないわけですから、そんなに気にしても仕方ないんです。
いっぽうで、人を採用している企業は有名ではなくても、業績が伸びていたりするんですよね。だから、声をかけてくれるところはこれから伸びるチャンスがあるところだと思ってやっていこうと思いました。
── ご縁も大事にされてきたんですね。
藤田さん:
はい。自分がこれをするぞと狙っているターゲットじゃなくても「来てください」と先方に言われたら、先方では何かがピンときているわけだから、自分にとって働きやすい場所だと思うし、人を採用しているということは成長性があるという証なんだと思って動いてきました。
ただ、親や親戚の意見はあまり聞いてきませんでしたね。人の予想、意見って、「自分の経験を引っ張ってきているだけ」なんだと思います。だから自分の肌で動物的感覚から予想することしかできないし、どういう生き方をしていくかは、人が決められることではない。自分で決めていくしかないことだと思います。
PROFILE 藤田淑子さん
大学卒業後、北海道拓殖銀行一般職を経て、93年米系シティバンク銀行に。2004年ユー・ビー・エス銀行に移り、08年退社して早稲田大学法科大学院入学。クレディ・スイス銀行勤務を経て、山口県宇部市でNPOなどで活動、19年より一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)事業本部長代理、現在は「新しいフィランソロピー」事業リーダー。
取材・文/天野佳代子 写真提供/藤田淑子