「座り続けられない3つの理由」に対処法は?

そのうえで、先ほどの「座り続けられない3つの理由」を考慮するとよいのではないかと思います。

 

まずは、おうちでどういう椅子が座りやすいかを調べ、お子さんがラクな姿勢を見つけてあげましょう。

 

以前、お教室ではピアノを弾けるのに、おうちでは弾けなくなってしまうというお子さんのご相談がありました。話を聞いていくと、先生は足がしっかり踏ん張れるように足置き台を置いて調整してくれていることが判明。おうちでも足置き台を置いてみたら、その子はピアノを弾けるようになりました。集中力が3倍ほど上がったとお聞きしています。

 

このように姿勢を保つには、足が床にしっかりつくことが大事。入学前の説明会で教室見学をすると思いますので、チェックするとよいでしょう。心配があれば、質問タイムなどで、「うちの子は足がぶらぶらしやすいので、高さを調整するものを使ってもよいですか」など相談されるとよいと思います。

 

また、姿勢を保つうえでは腹筋や背筋も重要です。水泳などの習い事をする、あるいは散歩や縄跳びなどを習慣に取り入れるなどでもよいと思います。全身運動を意識して取り組んでみてください。

 

お子さんの好奇心が強い場合、机の上の整理を親子で練習するとよいでしょう。目にいろいろなものが入るから集中できなくなるので、ものの整理をしてから取り組む習慣をつけるのです。これは勉強に限らずお手伝いや遊ぶときなどでもできることですし、集中力が途切れるのを防ぎやすくなるはずです。

 

同様に、自制心も日常生活のなかで育むことができます。

 

たとえば、「お腹がすいた」と言われたら、すぐにおやつをあげるのではなく、「15時になったらおやつにしようか」と言って待つ練習をさせるのです。

 

ただし、待てたあとはちゃんと希望をかなえてあげましょう。約束が守られないと、「裏切られた」という思いを抱いてしまいます。

 

お行儀のよさが求められるレストランに行くとか、大人が会話している間に横で待たせるとか、「ちょっと待っていてね」「少しおとなしくしていてね」という機会をつくるのもよいでしょう。そういった経験がある子は授業の参加もしやすいです。

 

こうした準備の組み合わせで、お子さんは安心して入学を迎えることができるのではないかと思います。

 

PROFILE 小川大介さん

教育家・見守る子育て研究所(R)所長。京大法卒。30年の中学受験指導と6000回の面談で培った洞察力と的確な助言により、幼児低学年からの能力育成、子育て支援で実績を重ねる。メディア出演・著書多数。Youtubeチャンネル「見守る子育て研究所」。

取材・構成/佐藤ちひろ イラスト/まゆか!