インスタグラムを辞めたのは“けじめ”みたいなもの
支配人に就任してからずっと、憧花さんは“自分の役割は何か”を模索する毎日でした。
「“宝塚ホテルと宝塚大劇場の架け橋となる”のが私の仕事です。でも具体的に何をするべきかは漠然としていて、誰も明確な答えを持っていません。
だから“架け橋になる仕事”を自分で考える必要がありました。就任後から現在に至るまで、ずっと手さぐりで試行錯誤の毎日です。
最初は、何年も働いているホテリエを見習い、同じ業務をできるようにしようとも考えました。でも、やっぱり積み重ねてきた経験の差が大きいんですね。
だから、自分にしかない“元タカラジェンヌ”の強みを活かした、独自の道を歩もうと考えました」
最近では文章コンテンツサイトの「note」で自分の考え、宝塚歌劇団や宝塚ホテルの魅力を伝えています。
元タカラジェンヌであり、ホテル支配人の憧花さんがみずから積極的に発信をすれば、たくさんの人に興味を持ってもらえるのではないかと考えたからです。
「退団後はインスタグラムを楽しんだときもありました。でも、支配人の就任が決まった際、アカウントごと削除したんです。はじめて会社員になるにあたり、“けじめ”みたいなものをつけたくて。
SNSもいろいろありますが、じっくり文章を書いて発信できるnoteが、今の自分の思いを伝えるのに一番合っている気がしました」
また、今年8月からは、みずからのトークイベント『Suu's Room』もスタート。ホテル自慢のアフタヌーンティーでおもてなしをしながら、毎回ゲストを迎え、その人の持つ世界観を紹介すると同時に、ホテルの魅力を伝えていきます。
「“ホテルと宝塚大劇場の架け橋とは何か?”の答えはいまだに出ていません。でも、ムリに定義づけしなくてもいいのかなとも思うようになりました。
ホテルの魅力を伝えるために、SNSでの発信やトークイベントなど、新しいことに挑戦していく姿勢に意味がある気がします。
もちろん、うまくいかないこともあるかもしれません。でも、失敗も受け入れ、試行錯誤を続けることそのものが、架け橋になっていくのではないかと考えています」