名刺の渡し方もパソコン操作もわからなかった

とはいえ、異業種に転職したからこその苦労も。通常であれば入社後は、先輩社員から指導を受ける研修期間がありますが、憧花さんはそうした経験がないまま、支配人に就任。

 

生まれて初めての会社員生活は、わからないことだらけでした。

 

「たとえば名刺の渡し方や、部長と課長のどちらが偉い役職なのかも知らなかったんです。

 

9時から17時まで働くのもピンときませんでした。パソコン作業も基礎的な部分はわかるものの、難しい操作はできません。

 

最初のうちは勤務時間を無視して必要以上に働くとか、逆に、全然仕事しないときもありました。会社員として当たり前の感覚がなかったんですね。

 

だから、今でもわからないことはたくさんあるし、周りから“どうしてこんなに簡単なことを知らないんだろう?”と思われている部分があるかもしれません」

 

しかも、支配人として就任した憧花さんの上司は多忙な総支配人。気づかってくれたものの、ちょっと困ったことがあったとき、気軽に質問できる存在が身近にいませんでした。

 

そこで、周囲のスタッフの働き方を見て学び、どんなに小さなことでも、わからないことは一つひとつ皆に聞き、スキルを身につけていきました。