「やりきった」突然の退団決意に周囲は…
「組長に就任したとき、尊敬する先輩に、“組長の役割は、組の環境をよくすること”と教わりました。
団員はみんな、仲間であると同時に競争相手でもあります。配役に納得できず、悩む人も少なくありません。
ときには、人間関係がギスギスしてしまう場合もあり、いつも前向きでいるのは難しいんです。
そのなかで、全員が私利私欲にとらわれず、舞台に取り組める雰囲気づくりを心がけていました。
たとえば、誰かひとりに親身になりすぎず、全員に同じように接するなど、気軽に相談できる存在になるよう努力しましたね」
団員に慕われ、信頼もされた憧花さん。通常、組長は4年ほど務めるのが一般的ですが、憧花さんは組長になって約2年半の2018年に退団を決意します。
「任期の短さは、自分でも気になる部分でもありました。でも、宝塚の組長は管理職であると同時に、舞台にも立つプレイングマネージャーです。
あるとき、“舞台人としてやりたかったことは、やりきった”って。このまま目標もなく舞台に残るよりは、若手に道を譲ろうと思いました。
周囲からは引き留めてもらいましたが、決意は揺るぎませんでした。一度こうだと決めると、周りから何を言われても、絶対考えを変えないタイプなんです」