母から「好きにすれば」で“二刀流”を決心した訳
── 3つの日記を駆使して、ムダのない時間の使い方ができたのですね!今は陸上中心ですか?
広田さん:
今は研修医になるのを延期して、新潟アルビレックスRCで陸上1本です。大学5年生で医大生として実習で忙しくなったときに、高校の自己ベスト2分4秒33を更新できたのがきっかけです。
陸上1本にしたら、もっと上を目指せる可能性を感じ始めたのと、2020年の東京オリンピックの開催が迫っていたこともあって。
結果的には五輪への出場は果たせませんでしたが、そのときは、これはもう神様が「陸上1本にしろ」と言ってるんじゃないかって思えてきて!
── 国家試験に合格して研修医になる夢を延期する決断も、勇気のいることですよね。
広田さん:
周りの医大生の友人は、どんなお医者さんになりたいかと話している中、医療現場にいる姿がイメージできなかったので、自分の気持ちに素直に従いました。
それと、ずっと私のことを近くで見てくれた眼科医である母親に「好きにすれば」と言ってもらえたのも大きかったです。
ちょっと突き放したように聞こえるかもしれないのですが、母の希望は、医学部のある大学を自分で選択したのだから、その道をまっとうすること。
母はそれまで、陸上の道を考え直して欲しいと思っていた。そんな母の気持ちを知ったうえで「好きにすれば」と言ってくれたのが、グッときました。
── お母さまが背中を押してくれたことで、陸上で悔いなく走り切ろうと決心できたのですね。
広田さん:
私、よく見る夢があって。優勝して観客席から母親に手を振っているシーン。うーん、やっぱり、実現したいですね。
一人っ子で、小さいころから周りに制御されないまま育ってしまったので、なんかこう途中でやめることができないんですよ。納得のいく走りをしてみたくなってしまって。