夫婦で共有する感覚がいちばんのコミュニケーション
── 子育て中に「子どもに癒される」というのは母親ならではの感覚でしょうか。
tupera tupera(亀山さん):
もちろん僕も癒されています。どんなにバタバタした生活の中でも、子どもの存在って、そういうものです。でも母親と子どもの関係は、特別なものですよね。
tupera tupera(中川さん):
出産前は、絵本のワークショップをするなど外での仕事や、プライベートの友人たちとのつきあいも、ふたりで行動を共にしてきました。
でも、出産してから子どもとの時間を大切にするようになると、すべてふたりでというわけにはいかなくて。亀山が一人で出かけて行くことも増え、最初は残された私が、孤独を感じることもありましたが、子どもが成長するにつれてそういう感覚はなくなっていきました。それはきっと帰宅してから亀山が外でのできごとを一部始終話してくれたからかなと思っています。
仕事でもプライベートでも、共通の知り合いや友達がほとんどなので、亀山がその人たちと話したり食事したり、一緒に何かをしてきたことを聞くと、私も一緒に参加しているような気持ちになれました。
夫婦で一緒に「共有している」感覚でしょうか。私たちは、予備校で出会い、大学時代を経てその後ユニット結成と、10年以上長くつき合ってから結婚したので、一緒に共有している時間が長いこともあると思います。
── 互いにリスペクトもあるのでしょうね。
tupera tupera(亀山さん):
いや、普通にケンカもしますよ。昔は作品のことでもケンカが多かった。今はお互いに慣れてきて、それも減りましたが。僕はケンカしたら、その日のうちに終わらせないと気が済まないタイプです。
tupera tupera(中川さん):
仕事も家庭も一緒だから、喧嘩したら逃げ場がないもんね(笑)。終わらないと、すべてがストップしてしまう。
夫婦の間で、同じ時間を共有しながら、コミュニケーションがとれているのは、大事なことかもしれません。
── 「コミュニケーション」というのはtupera tuperaさんのテーマにも通じるような気がしますが…。
tuperatupera(中川さん):
そうですね、読者と一緒に「楽しいことをしたい」という気持ちが絵本に反映されています。
たとえば「かおノート」(コクヨ)です。顔のパーツがシールになっていて、いろんな色や形の顔型に自由に貼っていくと、その時その人にしか作れない顔ができあがります。わかりやすくいうと、福笑いのような絵本ですが、読者とのコミュニケーションツールとして、tupera tuperaの絵本の出発点になったと思います。