人生100年時代、中高年の需要も高い
── 人が動くなかで、年代による転職への影響や特徴はありますか?
渡辺さん:
まず、最近の傾向としては、新卒で入社したエリート層で、その会社で定年まで勤めあげると思っている人がほとんどいないんですね。そのため、20代後半から30代はとても人が動きます。
いっぽうで、30〜40代も人が動くようになっています。
そこには、人生100年時代という考え方があって、今の30代の人は70代まで働くでしょう。人生70歳まで働くとしたら、体力、気力があるときに新しいチャレンジをしたいと30代の人は思います。
そして、40代の人も、50代では違うチャレンジをしてみたいと思うわけです。50代の人もこれから新しい場で働きたいとか、70歳まで働きたいから大手よりも小規模のオーナー会社に行きたいと思う人もいるんです。
以前は58歳の人はあと2年なら、転職しないと思っていましたが、今は65歳まで働くから、まだ転職しようとする意欲がありますね。
── その年齢で転職できるというのも社会がだいぶ変わってきているんですね。
渡辺さん:
だいぶ変わりましたね。いい世の中になったと思います。
大きな声ではいえませんが、働き方改革で若手が育っていない事実もあると思うんです。転職する若手の声を聞くと、20代で集中して仕事ができる年代で、働き方の制限をかけられていて、「もっと働きたい」という声も一部であるんですね。働き方改革の良し悪しがあると思います。
── 20代が育ちきっていないから、中高年の需要があるという形なんでしょうか。
渡辺さん:
たとえば、大手企業の人に聞くと、自分たちがかつて3年ぐらいで習得したことを今の若い人は倍以上の時間をかけて習得していると言います。
勤務時間、残業制限もあると思うし、コロナで在宅勤務になって、リアルじゃないと先輩の背中を見て学ぶことができなくなっているのもあると思います。