転職市場は今どんな状態なのか。これまでに約500人の転職を支援してきた凄腕ヘッドハンターとして知られるヘッドハンティング会社「ハイドリック&ストラドルズ」のパートナー、渡辺紀子さんに聞きました。

転職市場が活性化中

── 転職市場の状況はいかがでしょうか。

 

渡辺さん:

今、転職市場はものすごく動いています。その理由は、2つの側面でいえます。

 

1つは企業側の需要が増えています。もう1つは、転職したい人も増えています。両サイドが活性化しています。

 

企業からの需要が高まっている理由は、小売業やアパレル産業でDX(デジタルトランスフォーメーション)できる人材がいないからです。デジタルマーケティングなど、時代の変化に合った仕事ができる人材が求められています。

 

いっぽうで転職したい人がなぜ増えているかというと、コロナで人生を考えた人が多かったんですね。考える時間ができたんです。

 

オンライン面談などで転職活動をしやすくもなりました。地方にいても、面接が受けやすくなったと思います。

転職者のイメージ写真

オンラインなら移動時間もないので、対面に比べて時間帯の制約も少なくなりました。また、一時期は企業の海外出張もなかったので、社長との面談機会も増えたようです。

 

そういう意味で、転職機会が増えたことが考えられます。

 

また、夫婦共働きの場合、妻の会社は在宅ワーク推奨で夫だけ通勤をしていると「俺の会社、本当に社員のことを考えてくれているのか」と、会社について考えるようになったケースもあります。

 

在宅勤務で家族と過ごす時間が増えるなかで、仕事についての考え方が変わった人が多い印象です。

 

そのほか、コロナによって、業界を変えたいという人もいます。旅行業界にいる人が、次に同じような状況がまた起きないとも限らないから、違う業界に行ってみようかと考えるケースもあります。

 

官僚の退職も問題になっていますが、なかなかワークライフバランスが取れないこと、テレワークができないことなども要因となって、他の企業に人材が流れているように感じます。

 

本当に全般的に今、人が動いていますね。