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「ラグビー部によるラジオ体操」従業員8割がリモートワーク NTTコムの取り組み

仕事

2022.02.27

午後3時、パソコン画面に現れたのはNTTコミュニケーションズラグビー部・シャイニングアークス東京ベイ浦安のメンバー。彼らが行うラジオ体操の動画が配信され、従業員はリモートワークを行う自宅で各々体操を始める──。

 

将来の転勤廃止も目指すNTTグループで法人事業を牽引するNTTコミュニケーションズ(従業員約9,500人)はリモートワークを推進し、すでに派遣社員も含めた従業員のリモートワーク実施率は8割を超えています。ただ、そこにはさまざまな課題も…。同社に取り組みを聞きました。

コロナきっかけでリモートワークの実施率が8割に

「リモートワークの普及はコロナがきっかけでした」と話すのは同社ヒューマンリソース部の河内理恵(こうち・りえ)さん。同社では、2002年に「eワーク(在宅勤務)」という対象人数を限定し、介護や育児など事情を抱えた人を対象にしたリモートワークを導入していました。


その後、2017年には介護などの理由がない人でも月8回までの回数制限をかけて、誰でもリモートワークできるようになったそう。

リモートワークしている河内さん

それがコロナ禍を受け、感染予防の観点から2020年2月リモートワークの回数制限を運用上撤廃したことで、全従業員の実施率が8割に向上しました。

通勤代を実費払いに、リモートワーク手当を創設

制度面では、定期券を廃止し、通勤した実費を支払うよう改訂。電気代、通信費を補填するリモートワーク手当も2020年に創設しました。

 

すでに取り入れていたフレックス制度も10〜15時のコアタイムをなくしたコアなしフレックスとして、1日3時間以上からの勤務を可能に。午前7時から午後10時までの間に上司と相談して勤務時間を決め、途中休みを入れる分断勤務も可能としました。

 

NTTグループとしては2500か所のリモートオフィス整備を目標に掲げており、コミュニケーションズでも利用できるサテライトオフィスを順次拡充しているそう。一方、通勤する従業員の減少に伴い2021年秋、首都圏にある主要なオフィスビルを3か所から2か所に減らしました。

 

コンタクトセンターという個人情報を預かる場所では、当初リモートワークに向かないとして通勤が主でしたが、セキュリティを担保したパソコンの配備を進め、全部門でリモートワークを推進していると言います。

 

河内さんは「働く場所や時間の制限がなくなり、働き方の自由度が増している」と話します。 

困難だったのは派遣社員の調整

「約2,500名いる派遣社員を在宅勤務にできるよう契約内容を整理することが大変でした」と話すのは同部の原路子さん。契約書の内容を変更するなどし、派遣社員もリモートワークを可能にするよう話をまとめました。

 

「派遣会社様からも、『コロナ禍の中、派遣社員もリモートワークの対象としていただき、ありがとうございます』と言っていただきました」と振り返ります。

女性の働く満足度が向上

その結果、毎年、全従業員に行う満足度調査は男女ともに2020年度は過去最高に。特に2019年度までは女性の満足度が男性と比較して低かったそうですが、リモートワークが始まった2020年度は男性と同じ66%まで上がり、好評を得ました。

 

さらに河内さんは、女性のフルタイム復帰が増えたとのメリットをあげます。2019年度は2.4%だった短時間勤務者の数が2020年では1.7%まで低下しました。

 

河内さん自身も育児中で、コロナ禍以前も在宅勤務を経験した身です。「これまでは、自分だけ会議にリモート参加だったので、引け目を感じているところがあり、発言しづらいところもありました」と言いますが、リモートワークが推奨されたことで、働きやすくなったそう。

 

「育児中の女性の仕事への満足度が上がっています。移動時間が減ったことで業務にかける時間が増え、会社に貢献できていると実感できている結果だと思います」

デメリットは残業時間増加

一方で課題も見えてきました。通勤時間がなくなり、コアなしフレックス制度となったため、各自が自宅で以前より早く仕事に取り掛かるようになりました。しかし、終わり時間を早めて終える人はあまりおらず、総労働時間、残業時間が微増してしまったと河内さんは言います。

 

そのほか、全従業員に行ったアンケートの結果、デメリット(課題)の上位3つは次の通りでした。

 

①組織や担当内でのコミュニケーション手段・方法
②ITツールの整備、社内NW、業務システムのリモート対応強化 
③紙から電子化への促進(契約書、請求書等)

 

自宅で相手と気軽に連絡が取りにくいため、コミュニケーション手段・方法の課題がトップとなりました。

オンライン交流アプリで活性化を促す

そこで導入したのが、同社で作成したオンラインワークスペースアプリ「NeWork」です。アプリを開いて、各自が例えば開発部門というグループに入ると、そこで発生している会話はグループ内の人は全員聞こえる仕組みになっています。

 

アプリ内で自分のアイコンが他者に会った時に雑談したい時は通話ボタンを押すと会話できます。

NeWorkの画像

1on1を推奨

コミュニケーションの質と量を上げることで従業員の孤独感を防ぎ、発想力を上げるために、全管理職に1on1研修も実施されました。その結果2020年4月時点では年1040回だったものが2021年6月時点では3.5倍の年3421回に増えたそう。「リモートワークの中で孤独感を感じずにチームで一体になって仕事をするための取り組みとなっています」(同部・安田彩衣さん)。

雑談のネタにも!ラグビーによるラジオ体操

運動不足対策もなされました。同社が持つラグビー部・シャイニングアークス東京ベイ浦安によるオンラインラジオ体操。午後3時には配信され、従業員がそれぞれの自宅で体操を楽しみます。

ラジオ体操するラグビー部(2020年度撮影)

以前はさらに負荷のかかる運動もラグビー部が配信しており、挑戦する人もいたそう。「同じ運動に取り組むことで従業員の連帯感も生まれます」(河内さん)。

 

そのほか、2019年11月から、Com-Walkという、歩く歩数を従業員が競い合うイベントを行っています。平均歩数の多い組織や平均歩数の順位がきりの良い番号となった個人が賞をもらえる仕組みです。各自が専用アプリをインストールし、スマートフォンで歩数をカウントし、全社員が見られるオンライン上に表示されます。「白熱していて、お昼休みや始業前・終業後など歩くきっかけになっています。画面上で他の人の順位もわかるので、雑談のネタになっています」と河内さんは話します。

遠隔地居住も状況に応じて認める

今後の展開はどうなるのでしょう。原さんは「コロナが落ち着いてもリモートワークは継続され、ハイブリッド勤務になると思います」と言います。

 

また、2021年2月から自宅を遠隔地に設定するトライアルを実施しています。これまでは従業員は会社に通勤2時間以内を目安とした距離に住まなければなりませんでしたが、育児、パートナーの転勤など個人の事情がある人にかぎって、遠隔地を自宅として設定できるようにしたそう。

 

通勤圏外からも働けるとして歓迎されて1月14日時点で21名がトライアルを実施。申請も随時受け付けていて、これからも対象者は増えていきそうです。

取材・文/天野佳代子 写真提供/NTTコミュニケーションズ

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