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「企業が保育園開設」エスビー食品でダイバーシティが進んだ背景

仕事

2021.11.20

香辛料をはじめ食品類を製造販売するエスビー食品。社員一人ひとりが個性を大切に生き生きと仕事ができる環境づくりを進めています。その取り組みの一つである仕事と育児の両立支援では、社員の産前から復職後まで、手厚いサポートに注力しています。

 

その背景と想いについて、SDGs推進チーム ダイバーシティ担当マネージャーの後藤明子さんにお聞きしました。

エスビー食品 ダイバーシティ担当の後藤さん

SDGs推進チーム ダイバーシティ担当マネージャーの後藤明子さん。組織の人材多様化推進、仕事と生活の両立支援、ワークスタイル変革などダイバーシティ推進の業務に携わる。日々の業務では「社員のさまざまな声を聴くこと」を心掛けている。

2015年開設の事業所内保育園は認可園として地域にも貢献

── 社員の保活(保育園探し活動)支援や事業所内保育園など、育児支援が充実しています。きっかけは何だったのでしょうか?

 

後藤さん(エスビー食品):

エスビー食品では、2014年から専門部署を立ち上げダイバーシティ推進への取り組みを進めて参りました。育児支援も革新を進めるなかで、女性を取り巻く問題点として着目したのが、深刻化する待機児童問題でした。

 

実際に困っている女性社員の声も受けて2014年より「保活コンシェルジュサービス」を開始しました。保育園探しのコツ、居住地域の周辺保育園に関するきめ細かい情報などの提供や、1人ひとりのニーズにあったアドバイスを行い、妊娠時から保育園に入所するまでを支援するサービスです。

 

保育園に入るまでのハードルが高かった当時、一人で悩みを抱え込む社員を減らそうと、保活の情報収集のコツなどをニーズに合わせて提供していました。

 

2015年4月には、板橋スパイスセンター内に事業所内保育園「バジリッコ保育園」を開設しました。自宅近くの保育園に入れず、復職が難しい方を支援する目的で始めました。月極保育では、0歳(生後57日目から)から2歳まで受け入れています。一時保育(0歳から就学前まで)も行っており、さまざまなニーズに対応しています。

エスビー食品 バジリッコ保育園

── 現在は認可園になり、地域の待機児童問題の緩和にも一役買っているそうですね。

 

後藤さん(エスビー食品):

はい。翌年20168月には、板橋区認可保育園になり、地域の園児も受け入れています。開園からこれまで、多くの従業員に利用されてきました。また、事業所内の「バジリッコ保育園」の開園が、仕事と育児の両立の意識が高まるきっかけの一つにもなったのではないかと感じ、エスビー食品のダイバーシティ推進も大きく進んだのではないかと考えています。

 

敷地内ではパクチーやバジルなどハーブを育てていて、子どもたちが水やりなどお世話をしたりもするんですよ。エスビー食品の園らしく、小さな頃からハーブに親しんでもらっています。

 

また、園の前にある掲示板には、子どもたちが今日1日どんなことをして過ごしたのかが写真とともに毎日掲示されています。園の前を通る社員も確認することができ、お子さんの様子にほっこりし、業務の合間のちょっとした癒やしにもなっているようです。

 

── 利用者からの反響はいかがですか?

 

後藤さん(エスビー食品):

「バジリッコ保育園」を利用したことのある社員からは、「バジリッコの手厚さは群を抜いていると思います。お迎えのときに保育室の様子が確認できたり、子どもが一日過ごした様子がわかる写真がたくさんあるのもとても良いです」「職場の敷地内に園があることで、子どもの様子がよくわかって安心でき、成長を近くで見られる、ほかにはない環境だと思います」との声が寄せられ、非常に好評です。

 

── 待機児童問題については、ここ数年で行政による取り組みも進んでいます。最近変化を感じていることはありますか?

 

後藤さん(エスビー食品):

産休・育休前の社員を対象に「産休前セミナー」を開催していて、会社の制度についてや、産休・育休中の過ごし方についてなどを説明しています。保活についても触れ、早めの情報収集や、「産前に保育園見学をしたほうが良いですよ」などといったアドバイスもしていますが、最近では保活の基本情報を理解している社員が増えました。情報が得やすい環境になっているのを感じますね。

 

社会環境の変化からか、ここ最近は自宅近くの保育園にスムーズに入れている社員が随分増えたように思います。ただ、年度途中での入園はまだまだ厳しいという声も聞きますので、そのような場合に「バジリッコ保育園」が安心材料の一つとなってくれたらと思っています。

 

── 復職後の社員が仕事と育児を両立するための制度も整備されていると聞きました。例えばメンター制度は一人ひとりに合わせた方法にこだわっているそうですね。

 

後藤さん(エスビー食品):

そうなんです。育休復職者向けのメンター制度では、希望制で、先輩ママ社員と二人で話ができる機会を設けています。子どもの病気等の急な休みへの対応についてや、子どもや自身の負担軽減策としての時間の有効な使い方など、仕事と育児を両立するための工夫や、日ごろ悩んでいることなどを気軽に相談できる時間になっているようです。

 

2019年からは、社員のお子さんの健やかな成長をお祝いしたいという趣旨から、「1歳誕生祝い制度」を導入しました。女性社員だけでなく男性社員も、お子さんの1歳の誕生日(前後1週間以内)で特別休暇を1日取得できるものです。

エスビー食品 ファーストカレー制度

また、お子さんの1歳のお誕生日月に、ご自宅に“カレーの王子さまギフトセット”を送付しています。オリジナルの木の器や、自社商品である“カレーの王子さまシリーズ”がセットになっています。“カレーの王子さま”は1歳から食べられるので、お子さんの“ファーストカレー”にと、社員やそのご家族にとても喜ばれているんですよ。

男性も女性も相手を理解し、助け合える環境をバージョンアップしたい

── 今後さらに働きやすい環境を実現するためにどんな取り組みを進めていきたいですか?

 

後藤さん(エスビー食品):

これまでは出産する女性社員を中心とした育児支援を整えてきましたが、これから多様な社員が活躍するためには、周囲の理解も深める取り組みが重要であると感じています。制度自体は整っていても、周囲の理解となるとまた話は別です。育児にかかわらず、介護や病気の治療など、もし急に仕事を休んでも業務が進むよう、まわりがフォローできる体制を整える必要があります。

 

男性社員の育休取得についても、例えば1か月休んでも仕事に影響が出ないように、業務の進め方を変えていく必要があると思っています。

エスビー食品 社内打ち合わせスペース

── 理解を深めるために、何か具体的な取り組みをしていますか?

 

後藤さん(エスビー食品):

年前から仕事と育児の両立支援セミナーを行っています。当初は育休から復職した女性社員とその上司を対象に行い、セミナーでの知識の習得と共に、同じくらいの年齢のお子さんをもつ社員同士のネットワークとしても活用していました。昨年度からは、育児中の男性社員も参加できる形式にバージョンアップしました。

 

セミナーのなかでは、「アンコンシャスバイアス」についても取り上げ、参加者同士で考える場を設けています。上司には、育児中の女性社員に対する思い込みに気づくきっかけになったり、男性社員は「育児に参加」ではなく「共に育てる」意識へと変わったりと、社員の声を反映しながら、深い理解と助け合える環境が自然と生まれるように、今後も取り組みを進めていきたいです。

 

 

社員の「困った」を少しでも解消したいとの想いから生まれた「バジリッコ保育園」の取り組みは、社員だけでなく地域の保育環境の向上にもつながりました。これからもさまざまなアイデアや工夫、また想いが、エスビー食品から社会へと広がっていくのではないでしょうか。 

【会社概要】
社名: エスビー食品株式会社
創業年月日:1923(大正12)年4月5日
設立年月日: 1940(昭和15)年4月5日
業種: 食料品
事業内容: カレー、コショー、ガーリック等香辛料とチューブ入り香辛料等の香辛調味料、即席カレー、即席シチュー、レトルト食品、チルド食品、フレッシュハーブ及びハーブ関連商品他各種食品の製造販売

取材・文/高梨真紀 画像提供/エスビー食品

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