キャリアプランを考えながら、産後約半年での復職を実現できた社員も!

——ここからは、この「保活のミカタ」に相談して、昨年実際に保活に取り組んだ大久保さんにお話を伺います。 「保活のミカタ」のよかった点はどんなところでしょうか?

 

大久保さん:

保育園に入園し、復職するための方法だけでなく、復職後どんなふうに働きたいのかを見据え、それを実現させるために適切なアドバイスをくれたことが本当にありがたかったです。面談ではまず、復職後、私がどういうふうに働きたいかをヒアリングしてくれるんです。入園するのが目的ではなく、入園後に仕事と子育てをいかにスムーズに両立させるのか、まで考えてくれるので助かりました。

 

たとえば復職時期について。私は仕事が好きで、テクノロジー変化の速い業務のためあまりブランクを空けたくない思いがあり、産後半年を目途に復帰したいと考えていました。赤ちゃんを預けて働くには早い、という考えもありますし、実際、そう言われたこともあります。でも、面談をしてくれた酒田さんは私の考えを尊重してくれ、早期復職するための戦略を一緒に考えてくれました。

 

7月から待機児童として登録しつつ、翌年の4月からの転園を前提に、10月に事業所内保育園「And’s」に入園。同時に復職して、働きながら保活をするというプランを立てました。

 

デジタルマーケティング商品開発を約8年経験し、2020年10月よりICT統括室に異動、会社統合に向けたICT標準化、ガバナンス・利便性向上を踏まえた社内ITのサービス企画に関わる大久保さん。プライベートでは、1歳半の女の子の育児に奮闘中。

 

——まさに、“個の尊重”の精神が生かされているように感じます。

 

大久保さん:

そうですね。また、保育園選びに関しては、働くなら子どもを長く預けたほうがいいと思い込んでいて、延長保育が長く利用できる認可外にこだわっていました。でも、面談のなかで「延長保育の時間が長いという理由だけで認可外に絞るのは、もう少し考えたほうがいい」と指摘されたんです。

 

例えば、残業が必要なときはベビーシッターなどの選択肢があることや、3歳の幼児クラスからは少人数の認可外と大人数の認可保育園では子どもへのかかわり方も違うことなどを具体的に教えてもらいました。その上で「もう少し広い目、長い目で認可と認可外の違いを見てみませんか?」とアドバイスをいただいたんです。最終的には自宅近くの認可保育園に申し込み、無事希望の園に入ることができました。

 

——「保活のミカタ」を利用して、気持ちの変化はありましたか?

 

大久保さん:

復職前って子どもと二人きりの時間がほとんどで…。社会から閉ざされ、殻に閉じこもっているような感覚に陥り、すごく不安でした。そんななかで「保活は自身の事情だし自分で解決しなくては」と気負っていた面もあって。でも、「保活のミカタ」を利用することで、まわりに頼ることは甘えじゃないし、力を借りてもいいんだと思えました。保活は保育園の見学会に行ったり、役所に相談しに行ったりとやることが多くなかなか大変です。そんな状況に寄り添い、どう進めてこうかと一緒に考えて提案してくれるので、保活にも復職にも前向きに取り組めました。

 

スタッフが社内の人事担当者なのもよかったです。「この時期は忙しい」といった仕事の背景まで理解してくれるので、安心して相談できました。

 

 

社内で培った経験を社外へ伝える「保活総研」がスタート

——保活のミカタを始め、成果はどのくらいありましたか?

 

酒田さん:

以前は、弊社で育休を取得した従業員の3人に1人が、子どもが入園できないことが原因で育休を延長していました。もちろん、なかには望んで育休を延長する方も含まれますが、復職したくてもできない従業員も一定数いたと考えられます。保活支援のサービス開始後は、男女合わせて150名以上の従業員が利用し、入園決定率は1年目で95.5%、2年目で98.7%でした。

 

入園決定率もそうですが、年々利用者が増えているので、やはりニーズはあるのだと実感しています。また、以前は入園申し込みの締め切り間近や、入園不承諾通知を受け取ってから相談しに来る人が多かったのですが、今年は出産前から相談に来てくれる人が多数います。保活は早くから動いた方が有利という意識が根づいてきていると思うと、すごく嬉しいですね。

 

 

——着実に成果を挙げているとは素晴らしいですね。今後の目標などはありますか?

 

酒田さん:

2020年度から3年目のチャレンジとして「保活総研」という名称で他社でも保活支援を実践してもらうための取り組みを始めました。今後はこちらにも力を入れていきたいです。保活総研は、「ライフステージが変化しても、希望通りの働き方ができる」という未来のアタリマエに向かって、保育園入園に関するこれからのありかたを企業横断で考えていく場にしていきたいと考えています。具体的には、リクルートで培った保活支援のノウハウを個社ごとに無償で提供したり、保育園入園に関する最新データを共有したり、​企業のDI担当者向けの情報交換の場を提供したりします。

 

リクルートだけではなく、保育園入園に苦しんでいるママ・パパはたくさんいるはずです。そんな方たちに、企業を通じて適切な情報を届けることで、役に立てたら嬉しいです。

 

 

望む時期に入園させて復職するのはまだ難しいと言われる昨今。そんな中、リクルートでは相談者の98.7%が保活に成功しているとは驚きでした。緻密な組織化ときめ細やかな対応が成功の鍵といえるのではないでしょうか。

 

取材・文/小松﨑裕夏 撮影/河内 彩