「飲食業でも」長く働き続けられる会社にしたい

 

──女性が長く働き続けられる仕組みが整っていますが、実際の数字にも反映されているのでしょうか?

 

高砂さん:

2021年4月に、8人の女性社員が育休から復帰予定なのが何よりも結果だと思っています。今はママ社員が増えているところなので、私は先駆者として「私もそんな風になりたい」と女性が活躍できる会社環境を作っていきたいです。そうそう、スープストックトーキョーには「おばあちゃん社員」もいるんですよ!

 

──おばあちゃん社員?再雇用社員、ということですか?

 

高砂さん:

「おばあちゃん」と言っても50歳なので、表現はふさわしくないのですが…4人お子さんがいらっしゃって、一番下の子が高校生、上の子は20歳過ぎでその方にもうお子さんがいるので、「おばあちゃん」なんです。ご本人は子育てがほぼ終わっていて、物販店の店長としてフルタイムでスープストックトーキョーで働いてくれているんです。子育て経験も豊富なので、子持ち女性社員から見ても、人生の先輩のような存在ですね。

 

江澤さん:

まだそうした方は一人ですが、これからは社員の年齢幅も広げて、飲食業でもキャリアパスが描ける、長く働いていける会社にしたいと考えています。とは言えご本人は現役世代で全然「おばあちゃん」ではないので、何か代わるネーミングにはしたいですね(笑)

 

 

働く一人一人と向き合うことで、自社の価値観を制度にも反映させてきたスープストックトーキョー。取材では会社全体がスタッフの話を聞くことをとても大切にしている印象を受けました。誰もがそれぞれ異なる理由で同じ制度を使えることこそが、真の意味でのダイバーシティ経営なのかも知れません。

 

取材・文/秋元沙織