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「2020年までに女性管理職480名を目指す」三井住友海上の女性活躍推進とは?

仕事

2020.04.23

2020.06.10

 

共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。

ママ社員が在宅勤務を行うに当たって配慮したポイント、また女性管理職推進の取り組みについて、三井住友海上の人事担当者3名に話を伺います。

 

育児休業給付に影響しない範囲での働き方

──育休中は大人と話す機会が減るので孤独を感じる、育休で長期間仕事から離れると職場復帰時に浦島太郎状態になるという意見は、育休経験者からもよく聞かれますね。MSクラウドソーシングのように「育休中でも仕事をしたい、社会とつながっていたい」というニーズが生まれるのも分かる気がします。

 

ただ、育休期間は加入している雇用保険から育児休業給付が支払われますよね?期間中の就労状況によっては減額となるケースもありますが、具体的な給与や働き方についてはどうなっているのでしょうか?

 

金子さん(三井住友海上):

育児をするために会社を休んでいるのに、働き過ぎたり育児休業給付が減額となっては本末転倒なので、そこは私達でも議論に時間をかけたところでした。

 

金子 智恵(かねこ ともえ)さん/人事部企画チーム兼ダイバーシティ&インクルージョン推進チーム課長代理。2006年三井住友海上に入社後、商品開発部門で傷害保険の商品開発に携わり、2017年人事部に着任。現在は主に、労務管理、働き方改革、ダイバーシティ&インクルージョン推進業務を担う。

1日の労働時間は5時間程度と制限を設け、1日に1~2時間程度の労働も想定しています。給与に関しては成果給を採用しています。

 

まず仕事を依頼する社員は、事前に育休中社員の保有スキルなどから依頼業務にかかるであろう見込時間を算出します。業務を受注した育休中社員は、詳細や進捗状況などを報告・確認し合いながら自分の都合がつく日時に業務を行い、締切までに納品・報告を行います。

 

見込時間と実際の業務時間に齟齬があった場合は、仕事を依頼した社員が成果物とかかった時間を確認して調整する仕組みです。

 

──会社としては、育休中の社員が仕事をする環境のセキュリティ対策もあると思うのですが…。

 

金子さん(三井住友海上):

本人に気を付けてもらうことはもちろんですが、アクセス範囲は社内PCよりも制限をかけています。業務に必要な範囲のみの最低限の権限だけ解放し、保険契約者等の個人情報にはアクセスできないようにしています。

 

実は育休社員に限らず、社内での在宅勤務利用者数はここ数年でうなぎ登りで増えています。2016年度の10月開始当時の利用件数は602件でしたが、2018年度には3,540件、現在では延べ約8,000件となっています。

 

会社からシンクライアントPCを一人一台配布し、ペーパーレスの促進やスケジューラ入力を工夫して業務の見える化の推奨、コミュニケーションツールの整備をしてきた結果、在宅勤務ができる環境が整ってきたと感じています。

 

今までは家で仕事をすると「誰かに迷惑がかかるのでは」という思い込みが社員にもあったのですが、実行してみると「むしろ静かな環境で集中できる」と肯定的な意見も利用者から上がりました。

 

※1…ユーザーが使用する端末の機能を必要最小限にとどめ、サーバー側で処理を行う仕組みのこと。クライアント端末は、サーバーで処理された結果を画面に表示するだけとなり、データを端末内に一切保持しない。

 

──在宅勤務利用者が8,000件!在宅勤務の働き方が特別なものではないと、ママ社員も抵抗なく利用できますね。その他にもママ社員を対象とした支援はあるのでしょうか?

 

窪園 彩(くぼぞの あや)さん/人事部給与厚生チーム兼ダイバーシティ&インクルージョン推進チーム主任。2016年に入社後、人事部給与厚生チームに所属。給与計算、福利厚生、ダイバーシティ&インクルージョン推進業務を担う。

窪園さん(三井住友海上):

LINEや電話で専門医や助産師に何度でも無料相談できる「産婦人科オンライン」「小児科オンライン」という外部サービスを契約しています。病院に行くべきかどうか判断に迷う際に気軽に専門医に相談できるサービスで、月30件ほど相談があります。

 

また「保活コンシェルジュ」も利用者の満足度が高いです。復帰予定日の6カ月前に保活コンシェルジュから連絡があり、どういった園が希望か話すとリストを作ってくれるサービスを行っています。

 

「モンテッソーリ教育」や「アレルギー対応可」など、自分で調べると大変な項目も代わりに調べてまとめてもらえるので、育児休業中の女性社員にはとても助かるサービスです。 

女性管理職を2020年480名に

──女性活躍推進法に基づく数値目標も掲げています。ママ社員にも関わってくる話題だと思うので、詳しく教えていただけますか。

 

金子さん(三井住友海上):

三井住友海上の中期経営計画の一つに「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」が掲げられています。多様な社員が個性を大事に活躍する環境を整えていこうという方針があるのですが、女性活躍推進も中心に環境整備を進めています。

 

女性管理職の数値目標もその一つです。2020年度には女性管理職数480名(2014年度の4倍)としていますが、順調に推移しており、計画どおり目標達成する見込みです。

黒塚 幸子(くろづか さちこ)さん/人事部能力開発チーム兼ダイバーシティ&インクルージョン推進チーム課長代理。2015年三井住友海上に入社し、人事部能力開発チームに配属。女性管理職育成、マネジメント研修、若手社員向け研修を担う。

 

黒塚さん(三井住友海上):

ポジションとしては、経営層に近い人財を育てようとしています。現時点で課長職、課長代理職に就いている社員を対象に、本部から推薦があった人財を集めて、「MS女性アカデミー(女性管理職向け)」、「MS女性リーダースクール(中堅社員向け)」と呼ばれる集合研修を行っています。

 

マネジメントに必要な知識を学ぶために、一年間かけて何日も泊まり込み研修を行うものです。グループワークなどを通じて他の地域の女性社員とつながる機会ともなっていますし、同じ環境で切磋琢磨し合う女性社員同士のネットワークも生まれています。

 

課題も大量に課されるので楽な研修ではありませんが、子育て中の女性社員も参加していますよ。

 

──仕事で活躍する場も用意されているのは、ママ社員にとっては希望が持てる話ですね。実際に女性管理職が増えて、現場社員から聞かれる声などはいかがですか?

 

黒塚さん(三井住友海上):

女性管理職と一緒に働く部下からは、「近くにロールモデルがいることで、自身のキャリアビジョンがイメージしやすくなった」と聞きます。仕事と家庭を両立しながら活躍する姿は後輩社員の良いお手本になっていると思います。

男性の育児休業取得率80%を目指す

──今後、社内でのママ社員サポートについて感じることや、今後会社としての展望などはありますか?

 

金子さん(三井住友海上):

MSクラウドソーシングをはじめ、子育てをしながらも自分らしく働ける制度は女性社員を中心に浸透してきています。

 

そこで、今後は男性社員にも制度を利用してもらいたいと考えています。

 

例えば、現在は、男性社員の育児休業取得率目標80%を掲げています。

 

若手の男性社員には取りたい気持ちがあっても「周りの空気が心配」「そうはいっても仕事はどうしよう」と感じるようなので、子どもの誕生日や出産日など、まずは一日でもいいので取得できるように社内で意識を変えていくことが目標ですね。

 

窪園さん(三井住友海上):

10年前は結婚したらまず仕事を続けるか考え、結果退職する人も多かったと思います。しかし、今では子育てしながら仕事を続けるという選択をする人が増えてきました。

 

配偶者を扶養に入れている男性社員も徐々に減ってきており、男女ともに共働きへの意識は確実に高まってきています。

 

会社としても育児と仕事の両立は男性社員と女性社員共通の課題だと考えているので、5年前から開催している育児と仕事の両立セミナーを、これまで女性社員のみを対象としていたものを、2019年度から全社員に対象を拡大しました。

 

セミナーでは、家事の分担や仕事上での工夫などの体験談を先輩の男性社員・女性社員に話してもらったり、職場メンバーは妊娠中の女性社員へどう配慮したらいいかなど、実体験を共有しあえる機会にしています。

 

セミナーを通して、全ての社員にこれからの時代の働き方について考えてもらえれば嬉しいですね。

 

仕事を通じて社会とつながり続けたいママ社員と、たくさんの仕事を抱えている職場、両者の満足度を高めた「育休中の在宅勤務」という三井住友海上の事例。

 

「ママ社員だから」という過剰な配慮をせず企業側が本人に判断を任せていくことも、女性が活躍できるコツなのかも知れません。

 

取材・文/秋元沙織 撮影/中野亜沙美 取材協力/三井住友海上火災保険株式会社

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