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産・育休後の復職一時金を支給など、“ダウンサイドの支援”で誰もが思い切り挑戦できる企業に

仕事

2020.01.03

2020.06.12

 

共働き時代に合った私らしい生き方・働き方を模索するCHANTO総研。今回は「ダウンサイド」の支援で働きやすい環境を作っている株式会社メルカリを取材しました。

 


フリマアプリ間での月間利用者数は1300万人を突破しており、今、勢いのある会社の一つとしても名が挙げられる「メルカリ」。オリジナリティ溢れるサービスだけでなく、「産・育休後の復職一時金を支給」「妊活の支援」など独特の人事制度を発表し、最近では働きやすい会社としても注目が集まっています。

 

今回は人事制度を運用する担当者に、メルカリの人事制度についての考え方や運営の秘訣を聞きました。

 

教えてくれたのは…

望月 達矢(もちづき たつや)さん

株式会社メルカリのPeople Experience Team Manager。外資系生命保険会社、エンターテイメント企業、ITベンチャー企業を経て、2017年メルカリに入社。現在は人事制度(主に福利厚生制度・働き方)の企画・人事労務を担う。

 

誰もが「安心」して「思い切り」働けるように、万が一の不安やリスクを解消

──メルカリは2013年設立と比較的新しい会社ですが、福利厚生を充実させている印象があります。まずはメルカリの人事制度について、簡単に教えてください。

 

望月さん(メルカリ):

メルカリは、2016年2月に「merci box(メルシー・ボックス)」という人事制度を立ち上げています。これは、メルカリのバリューの1つである「Go Bold(大胆にやろう)」を後押しする人事制度です。

 

merci box開始時には私はまだ入社していなかったのですが、当初は「ベンチャー企業だからこそ、働く上での不安をなくしたい」「ベンチャー企業=ブラック企業というイメージをなくしたい」との思いから作られたと聞いています。

 

メルカリはまだ新しい会社ということもあり、現在は20~30代の若い社員が中心。育児や介護はこれからという社員も多いので、今対象者が増えて必要に迫られてというよりは、社員が働くうえで「これから」起こるであろう未来に備えて整備したという背景があります。

 

金銭的支援なると、会社の負担が大きいのではないかと思われるかもしれません。でも、全社員が一斉に制度を使うっていうことは、なかなかないですよね。なので、会社にとって金銭的なインパクトはそこまで大きくないと思います。

社員だけでは拭えない不安だったりリスクというところを、できるだけ会社として軽減するサポートをし、Go Boldに働ける環境を整え、全ての社員に良いパフォーマンスをしてほしいと考えています。

 

──「全ての社員が良いパフォーマンスをする」というのはどの企業も望んでいることだと思いますが、実際には実現できていない企業も多いです。メルカリとしてはどういったサポートを行っているのか、具体的に聞かせていただけますか?

 

望月さん(メルカリ):

まず、当社は会社の行動指針であるバリューの一つに「Go Bold(大胆にやろう)」を掲げています。

生きていくうえで仕事とプライベートは密接に関わっていて、どうしても完全には切り分けることができないと思っています。そして多くの人は、私生活で何か困っていることがあると、全力で働くことが難しくなります。

なので、誰にでも起こりうるケース、特に「病気や怪我、家族の事情等で働きたいのに働けない状態」になった場合は、会社で面倒を見ますよというメッセージです。そのリスクを会社で支える分、安心して「Go Bold」に思い切り働いてほしい、というのがメルカリの考えです。

 

そうすれば誰にでも起こりうる不安やリスクが障害になることなく、誰もがフラットな立場でメルカリの仕事に取り組むことができると思うんです。

 

万が一のことが起きた社員を会社が最大限サポートする

──仕事の面だけで判断するのではなく、プライベートな面も含めてのフラットな立場という視点は面白いですね。

 

望月さん(メルカリ):

社内ではよく、「アップサイド」「ダウンサイド」という表現を使っています。アップサイドと個人の自由選択に関すること(プラスアルファ)ダウンサイドとはライフイベントとして多くの人に起こり得て、かつ、働き続けるにあたり、個人で乗り切るには負担が大きいもの(マイナスをゼロにするというイメージです。

 

例えば、会社の近くに住んでいる人に対する家賃補助は、会社の近くに住む・住まないは社員の個人の選択・ニーズによるものなので、アップサイドの支援だと考えており、このようなアップサイドの支援は原則やらずに報酬増に繋げたいと考えています。

 

一方で、メルカリが支援しているのはダウンサイドのサポート。ライフイベントとして多くの人に起こり得て、かつ、働き続けるにあたり、個人で乗り切るには負担が大きいものを中心に支援し、働き続ける上での不安を減らしていきたいと思っています。万が一の保として、全社員が死亡保険に加入しているのもダウンサイドのサポートのひとつですね。

 

──全社員が死亡保険加入!ダウンサイドといった意味では、CHANTO WEB読者のような子育てしながら働く女性に対する支援制度も当てはまりますか?

 

望月さん(メルカリ):

もちろんです。子育てをしていると、どうしても時間的な制約が生まれたり、不測の事態が起きやすかったりしますよね。それはしかたのないことですが、子育てが理由で思いきり働けないというのは、当事者にとってももどかしいことだと思います。だから、会社としてはできるだけのサポートをして、能力を最大限発揮できるような環境を整えたいと思っています。

 

ただ、こうした制度を整える背景としては、特に働く女性を意識しているというよりは、困っている全ての社員を福利厚生で支えたいという意味合いが強いです。

 

例えば「Sick Leave(シックリーブ)」という制度。これは最大10日間、本人の病気・ケガを理由としての取得が可能で、有給休暇とは別に付与しています。もちろん有償休暇として給与も支払われるというものです。

 

働くママ社員も利用してくれていますが、そもそもこのSick Leaveという制度は、外国籍の社員から上がってきた意見をきっかけにることを検討しはじめました。日本では社員が病気になった際には有給休暇を使用することが一般的ですが、海外では病気専用の休暇(Sick Leave)があることが多いんです

 

メルカリでは外国籍社員もたくさんいるので、「メルカリにはどうしてSick Leaveがないの?」という声をいただき制度をクイックに検討し、導入することにました。

オンライン上での仕事の見える化で引き継ぎもスムーズに


──働くママは子どもの発熱や病気で、急な休みを取るケースもありますよね。こうした場合、メルカリではどうしているのでしょうか?

 

望月さん(メルカリ)

子どもの看護や家族の介護で休む場合も、最大で10日間休暇が認められています。そのうちの5日間は特別有給休暇として申請が可能です。

 

メルカリでは、勤怠連絡だけでなく各自の仕事の進捗状況も、オンライン上で全員が確認できるようになっています。社員は普段からSlack(ビジネスチャットアプリ)上で仕事のコミュニケーションを取ることが多いんです。

 

ですから、子どもの発熱で突発的に休むことになった場合も、社員は自分の関連するプロジェクトやチームのSlack上で「休みます」という連絡を行います。休みにくい雰囲気は一切ありません。もともと有給を取得する際にも、休む理由を尋ねたりないカルチャーなんです。

 

「Slack」上でチームメンバーに休むことを連絡。お互いの状況がひと目で把握できる。

 

仕事の見える化がされているので、不慮の事態になっても仕事が当事者のところでストップすることはなく、誰が何をやればいいかは分かりやすくなっています。やり取りの際に「ここまではできているので、今日出社してやる予定だったこの部分の確認をお願いします」「この部分は明日出社してから確認します」など、Slack上で引き継ぎのコミュニケーションを取り合う形ですね。

 


 

──仕事の見える化は、自分のためだけでなく他の社員にも分かりやすいですね!仕事の進捗状況がオンライン上で共有できれば、休んでいる社員からしても引き継ぐ側にしても、コミュニケーションが取りやすいです。

 

望月さん(メルカリ):

あとは、長期的な休みの際のサポートもあります。産・育休後の復職一時金の支給です。何人が利用しているか具体的にはカウントしていませんが、対象者のうち育児休業の利用率は男性8割、女性はほぼ10割です。

介護休業を取得する社員に対しても、介護休業からの復職一時金を2017年8月より支給しています。

 

──休む際に金銭的な心配をしなくていいというのは、心強い。どんな立場の人にとっても助かりますね。

 

望月さん(メルカリ):

育児関連の制度で言えば、臨時で病児保育施設やベビーシッターを利用した場合に一時間あたり1500円を上限に支給する「病児保育費の支援」、復職の際に認可保育園に入園できなかった社員に対して差額の保育料を会社が負担する「認可外保育園補助」もあります。

 

病気や介護、それに育児が原因で思うように働けないという状況は、本人の意思でなりたくてなるものではありません。先ほどもお話しした通り、我々はその状態をダウンサイドと考えています。やむを得ない事情で仕事をセーブしたり、休んでいるのですから、社員が少なくとも金銭的な負担感じることがないようにサポートできたらと思っています

その結果、また会社に戻ってきて思い切り働いてくれるのであれば、それは会社としてすべきフォローだと思います。

 

取材・文/秋元沙織 撮影/中野亜沙美 取材協力/株式会社メルカリ

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