近隣諸国の「産後ケア事情」と産褥期の考え方
こうした「産後ケア事業」については、日本よりも海外、なかでも特に台湾を含む、中国や韓国で盛んな印象があります。
2019年7月、筆者は上海で開催された世界最大級のベビー用品展示会「CBME China 2019」を取材に行ったのですが、その展示会にも多くの産後ケアセンターがブースを出展していました。
中国には「産じょく期はゆっくりと静養するもの」という考え方が根づいています。そうした考えに基づき、出産を終えた後は母子共に産後ケアセンターに宿泊して過ごす人が多いのだそう。
ホテルのようなキレイで快適な部屋に宿泊し、食事の提供はもちろん、洗濯や掃除もおまかせして、ゆったりと育児に臨める環境はとてもうらやましいものです。
もちろん自宅で過ごす人もいるようですが、その場合も栄養バランスの整った「産婦さん向けの食事(1日3食+おやつ)」を宅配してくれるサービスがあり、産後はほとんどの女性がそうしたサービスを利用していると、取材に同行した現地通訳の方が教えてくれました。
その話を聞き、産じょく期に対する中国の進んだ考え方に驚いたものです。
韓国も中国同様、産後ケアセンターの人気が高く、利用する人も多いという話を聞きました。そのほかアメリカやシンガポール、マレーシアなどでは「産後ドゥーラ(産後アマともいう)」を雇い、自宅でサポートをしてもらう方法を選ぶこともあるそう。
いずれの国でもこれらのサービスを利用できるかどうかは収入などによって異なると思いますが、少なくとも日本のように、産後すぐから〝ワンオペ育児〟になることは少ないという印象を受けました。