「産後ケア事業」の現状と変化の兆し
「改正母子健康法」では、産後1年以内の母親と乳児を対象に、「産後ケア」として下記のようなことを行うと定められています。
●産後ケアセンターの整備
●病院、診療所、助産所、産後ケアセンターなどの施設で行う産後ケア
●訪問による、自宅での産後ケア
●助産師や保健師による心のケアや育児に関する相談
生理的変化によって、何かとトラブルが起きやすい産後間もない女性が、子育てを1人で行わざるをえない、いわゆる〝ワンオペ育児〟になってしまうと、産後うつなどの精神的不安症状をさらに発症しやすくなってしまいます。
「産後ケア」事業には、そのような事態を防ぐ目的があります。なお改正法案が可決された2019年11月時点で、すでにこうした産後ケア事業を行っている自治体は、全国で約4割といわれています。
自治体ごとの取り組み方もさまざまで、助産師による訪問のみを行っているところもあれば、産科医療機関や助産所への宿泊も可能なところ、日帰り(デイケア)も可能なところもあります。利用には「行政からの補助+自己負担」が必要な場合が多いようです。
自治体以外にも民間による「産後ドゥーラ(※)」や、「食事+体のケア+育児指導付き」で宿泊可能なケアセンターなども増加しつつあり、都市部を中心に徐々にですが、産後ケアを受けられる状況が整い始めているといえます。
(※)産後~子育てが軌道に乗るまでの期間、母親の日常生活を支える専門家。「ドゥーラ」の語源は、ギリシャ語で「他の女性を支援する、経験豊かな女性」という意味。