地獄の家族旅行へようこそ!  

出発する前から“これはヤバい旅行になってしまいそうだ…”と誰もが思っています。どう考えても楽しい会話が続くようなメンバーじゃない。 まずお父さんが面倒臭いことになってます。変なビジネス書を出版して大儲けしようと企んでおり、それが出版されたら大金が転がり込んで来るんだ!と調子に乗っており、やたらと上から目線で家族に接します。こんなお父さんがいたら超面倒臭い….。 そして叔父さんは自称“高名な研究者”ですが、好きだった男にフラれて自殺未遂をしたゲイです。病院に置いておくわけにも行かず一家が引き取ることに。実妹である母はがんばって取り繕ってますが、家族全員どう扱っていいのか分かりません。 しかも、同居している祖父は覚せい剤と女性が大好きなエロジジイです。デリカシーもゼロ。そんな中、長男はニーチェに憧れて“沈黙の誓い”をたてまったく喋らなくなりました。どんな問題が起きようが無言です。 末っ子は無邪気な女の子ですがポッチャリ体型。コンテストが間近に迫ってますがダイエットなど全くしないどころかアイスクリームが大好きです。しかし「負けるなんて許されない!勝てる試合しか出るな!」と父親からプレッシャーかけられまくり。そんな家族を何とかまとめようと、唯一ちゃんとしたママが道中ずっとがんばる映画です。

 

リトル・ミス・サンシャイン
(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.  ▲娘の夢への第一歩となる楽しい旅のはずが…ママはまったく心が休まらない!

 

彼らは、勝ち組?それとも、負け組?

この映画の中で何度も語られるのは「勝ち組か?負け組か?」ということです。 家族全員しっかり“負け組”らしいことを観客は知っているんですが、本人たちは「自分だけは勝ち組だ」と信じています。 負け組になるもんか!絶対に勝ってみせるんだ!という気合はあれど、旅の途中で次々と負かされていきます。負け続ける旅行。聞いただけで…悲しい気持ちになっちゃいます。 そもそも旅行中にトラブルが起こるだけで僕は悲しい気持ちになります。予定の電車に乗り遅れる、何か忘れ物をする、行きたいお店が閉店している…想像しただけで恐ろしいです。旅先でする喧嘩ほど虚しいものはありません…。

 

リトル・ミス・サンシャイン
(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.  ▲あぁ、そんなことを言っているそばから映画の中のみんなも喧嘩連発。 店の中でも車の中でも喧嘩しまくり。そんな風に互いを傷つけながら、全員が満身創痍で美少女コンテストの会場入りを果たします。

 

末っ子以外は全員傷だらけ…精神的にズタボロになった家族にとって美少女コンテストは唯一の希望です。でも会場に到着した途端、そこには圧倒的な美少女がズラリと並んでます。末っ子だけは負け組にしちゃいけない!家族全員が出場を辞退させようとする中、母だけは娘の背中を押します。何でこんなに泣いてるんだ、俺は!

 

リトル・ミス・サンシャイン
(C)2018 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.  ▲憧れのミスコンに出られると大喜びの娘。小さい頃の夢って、眩しいね。