—— 容姿など、具体的にどのようなところに悩みましたか?
小林監督
リラックマも含めて、カオルさんが東京のどこかにある街に実際に住んでいるような気がすると感じてもらえることが大前提でした。「荻ケ谷」という架空の街に住む30歳の女性。会社に勤めて10年少々。ある程度の年収もあって洋服もそれなりのものを身につけている。毎日会社に通うし、お出かけのときにはおしゃれだってします。キャラクターアニメでは洋服は1種類がベーシックなスタイルですが、カオルさんにはスタイリストさんをつけて、アドバイスをもらいながら衣装を考えていきました。
—— 実写に近い作り方ですね。
小林監督
そうですね。カオルさんという人をキャスティングしてお芝居をしてもらった、そういう意識でしたね。
—— 表情にもとても変化があってリアルでした。
小林監督
今回カオルさんの人形には、「メカニカルヘッド」を採用しています。これは、顔の中にメカ(ギア)が入っていて、しゃべるときに顔の筋肉が動く、例えばほっぺたが上がったり下がったりするのを表現できるものです。イギリスの著名な工房Mackinnon&Saundersで製作したもので、海外のストップモーション作品などでたまに使われていますが、日本ではめずらしいかもしれません。
人としてリアルに感情を出すときには、悲しいとうれしいの間の感情も表現したい。何も言わなくても、カオルさんの表情から「何を思っているのか」が伝わることが大切だと考えました。日本語でお芝居する作品なので、すべての感情を言葉にする必要はないし、リラックマもしゃべらないキャラクターです。しかし、目線で会話することだってある。今回はカオルさんとトキオくんにこのメカニカルヘッドを採用しています。