設定はコメディなのに…涙が止まらない!   

10年間も森で暮らしていた変わり者で、一家全員が秀才の家族が現代社会に繰り出します。そりゃもう、完全に珍道中です。森からお葬式が行われる場所までの距離は2400㎞。大型バスで爆走しながら色々な場所でトラブルを巻き起こします。

 

はじまりへの旅
▲レストランに入れば「まともな食い物がない!」と店を出るし、 放牧されている羊を「弓で射止めろ!」と子どもに指示を出すし、 スーパーで大量の食料を盗み出すし…めちゃくちゃです。

 

親族からは、その行き過ぎた教育方針を責められまくります。「ちゃんとした学校に通わせて!」「子どもたちの将来を踏みにじるの!?」とボロカスに言われますが、パパは一向に耳を傾けません。全くブレない信念を持って子どもに向き合っています。清々しいほどに真っ直ぐで一途です。 ただ…現代社会には全く馴染めません。これでいいんだろうか…パパ、気持ちは分かりますけど…現代社会において“鹿を殺す技術”とかいるかなぁ…。映画の中だから笑っていられますけど、実際、子どもに対する教育ってめちゃくちゃ難しいですよね。何をどこまで教えるか。

 

はじまりへの旅
▲この映画に登場する6人の子どもたちは現代社会から浮きまくってます。 森で暮らすことで強くなった。しかし、社会というものは社会の中でしか学べない。 この旅でそれを痛感していきます。

そんな時、父親はどうあるべきなのか?  妻と子どもを愛し、全身全霊をかけて守り、育ててきた父親のこれまでの苦労が現代社会に踏みにじられていきます。コメディじゃないのか…笑っちゃうけど笑ってる場合じゃない展開から目が離せません。

 

子どもたちの愛で、ママを救う

この映画において、ママの存在はとても大きいです。画面上には現れませんが、子どもたちはママの話をたくさんします。如何に愛しているか。如何に愛されていたか。このママの存在の大きさったら! エピソードが子どもたちの口から溢れる度、胸が締め付けられます。ただ、やろうとしていることは「ママの遺体を強奪して火葬する」という無茶なことなんですけど。なぜだか物凄く応援してしまいます。ママが登場しないのにママの偉大さが子どもたちの言葉から伝わって来るってすごいことですよ… 子どもたちに残せるモノは何か? なんて普段の生活を続けているとしっかり考える余裕がないですが、この映画はそんなことを考えさせてくれます。一生懸命に子どもと接し、子どもの未来のために何をすべきか。この映画に登場するパパはたくさんの間違いを犯してきたことに気がつきます。

 

はじまりへの旅
▲でも、果たしてそれは間違いなのか? その答えは子どもたちが教えてくれます。