—— 家族が出てくる話なので、それぞれの立場で楽しめる作品だと思います。
齋藤P
子育て真っ最中の人はもちろん、子育てが終わった人が「あんなことあったよね」と懐かしく見ることもできます。でも、『未来のミライ』は決して親だけのものじゃない。僕はむしろもっと若い人たちの物語でもあると思っています。その理由はふたつあって、1つ、これはアイデンティティの物語であると言うこと。くんちゃんは誰の心の中にも居る、誰しも自分は何者なのかを探し続け、他者をどうやって受け入れていくのかなど、くんちゃんを通じて、自分というものを考えてみるというのは面白いと思うんです。
もうひとつは、いまの世の中、決して、全員が親になるわけじゃない中で、僕は肉親だけではなく、小さな子どもの成長に関わるということは、人生において大きな意味があるんじゃないかと思っているんです。みんなでよってたかって、子供の成長にコミットをして、励まし、関わっていくというのはとても面白いんじゃないかなと思っています。
—— 『バケモノの子』では九太の成長に熊徹をはじめ、たくさんのキャラクターが関わっていますよね。
齋藤P
そうですね、あの作品では、血の繋がらない親子の相互成長を描いていると同時に、みんなで子どもの成長に関わって、大人が、社会が、子供たちの成長と未来を励まし、祝福していくべきだという思いがありました。子供たちに対して、社会全体が関わり、一緒に考えていくことは大事なことだと思っています。