大人は立ち入り禁止!な世界
原作を読んでいる方ならご存知かもしれませんが、漫画にもそして映画にも大人がほとんど登場しない作品です。青春時代には、親や教師に見せない自分があるもの。本編に登場する大人たちは背景の一つ程度の存在です。
自分が大人となった今、この作品を見ると「誰か気づいてあげて!」と大人に向かって叫びたくなるシーンがいくつもあります。しかし、彼らの秘密に気づく大人が存在しないことが、リアルな現実を突きつけている気がします。

端正な顔立ち、吸い込まれるような眼力が魅力の吉沢亮が、今作ではキラキラを封印。イケメン要素はしっかり残しつつ、ダークな雰囲気で新たな“美しさ”で惹きつけます。
死体を見て勇気がもらえるという発言は、精神状態を心配してしまうけれど、これは一種の心の安定を図る方法なのです。山田だけでなく、すべての登場人物が不安定な精神状態を安定に保つために“何か”にすがって生きています。いじめられっ子で、叶わぬ恋をしている山田の精神安定剤が「死体を見ること」なのです。精神安定剤を失ったり、不安定なエネルギーが過剰にあふれ出したとき、崩壊への道を辿ってしまうというわけです。