数学に取り憑かれた祖母の執念

 

メアリーの才能を知り、突然現れる祖母イヴリンの存在は強烈です。メアリーの母、つまり、イヴリンの娘は自ら命を絶っています。メアリーの母も数学の天才でした。そして、何を隠そうメアリーの叔父フランクにも天才とまではいかなくても、かなりの才能があったようです。イヴリンは、才能を活かし偉業を成し遂げられなかった娘の夢を孫のメアリーに託そうとするのです。

 

才能を伸ばしてあげることは、子どもにとって悪いことではありません。しかし、このおばあちゃんの場合には、メアリーの才能を伸ばすことよりも、自分の夢を叶えるためにメアリーの才能を利用しているように見えてしまうのです。

 

「嫌なおばあちゃんだな…」と感じると同時に、「悲しい人だな」という気持ちが湧いてきます。終盤で鬼の目にも涙…なシーンも登場するので、大きな心で執念物語を見届けてあげてください。

 

オススメがいっぱい!マーク・ウェブ監督作品

 

心を揺さぶる人間ドラマが得意なマーク・ウェブ監督。『アメイジング・スパイダーマン』『アメイジング・スパイダーマン2』など、スパイダーマンシリーズの監督として知られています。

 

ミュージックPVの監督としてキャリアをスタートさせているだけあって、音楽の使い方も抜群です。ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ズーイー・デシャネル共演の『(500)日のサマー』や、2018年4月に公開されたエディ・レッドメイン、ピアース・ブロスナン、ジェフ・ブリッジス共演の『さよなら、僕のマンハッタン』もおすすめです。この2本に関しては、別の機会にまた見どころなどをご紹介しますので、お楽しみに。

 

天才少女メアリーをめぐる叔父VS祖母の対決はどのような結末を迎えるのでしょうか。笑顔全開のハッピーエンドを期待しながら、楽しんでみてください。

 

文/タナカシノブ