福永祐一騎手と結婚後、フジテレビを退職、その後京都へと引っ越して生活を送っているフリーアナウンサーの松尾翠さん。現在3人のお子さんの子育て中の松尾さんに、夫婦円満のために工夫していることについて伺いました。
家事も育児も、楽しんで取り組む夫の姿勢
──ご主人は子育てにどのように取り組んでいますか。
松尾さん:
子どものいる生活は日々、化学反応がありますよね。何が起こるかわからないので、夫はとても楽しんで子育てしています。家事も、お願いしたことをしてくれるのではなく、これをしたら私が楽だろうなというのをしてくれているのが伝わります。
子どもたちと遊ぶときは、自分がしたい遊びをしているみたいですよ(笑)。たとえばプールとか、一緒に子どもとしたいことをして、子守をしてあげるというよりは一緒に楽しんでいるという感じです。
──家事に関してはいかがですか?
松尾さん:
基本的に家に長くいないこともあるので特に分担はしていないです。でもコロナ禍でレースや調教以外の家にいる時間が増えて、取材や会議もリモートになったことで、ご飯作りにも目覚めたよう。
みきママのレシピ本を読んで作ってくれていますよ。料理は好きみたいで「これはレシピ通りに作ったからみきままが作ったと言っても過言ではない」といって出してくれます(笑)。
──お味はいかがですか?
松尾さん:
おいしいですよ!みきママの味がかなり我が家で再現されていると思います。
あとは洗濯物を畳むのを、夜、テレビを見ながらするのが好きみたいで。たぶん、私より性格的に家事に向いてると思います。
アイロンも綺麗にかけますし、コツを自分で考えて、楽しめる脳を持っているみたいで。私とは別の視点から家事をしているように見えます。
でも、唯一ゴミの処理は好きではないみたいです。洗い物をしてもゴミはシンクにそのままあります。すべてを求めては悪いので、ここは「ありがとう!」といってさりげなく片付けます(笑)。
──お仕事も忙しい中で、とても積極的ですね。
松尾さん:
もう本当にありがたいです。でもいろいろしてくれることが当たり前になりすぎて、ワンオペが続いた後などに、もうちょっとありがとうとかいってほしいなと思ってしまった時期があったんです。でもそれは自分もそうだったなと。
一緒に家族としていると「ありがとう」を、かっこ省略にしがちですよね。
話し合って、「翠には伝わっていると思っていた」、「私ももっと感謝をその時に口にするね!」となりました。
でも本当は、そんな言葉が何もなくても、全然いい位になりたい。余裕のないときはどうしても求めてしまうことを、なるべく自分で自分のごきげんを保つことで、相手のすること、言ってくれることは関係なしに、勝手に幸せ自家発電していたい。これは自分の心の実験、実践だなと。そんな話なども夫婦でします。
お酒を飲んで話したり、お茶をして話したり。1時間でもいいので、2人で散歩したりカフェに行ったり、何げないことを一緒にするようにしています。
夫婦円満のコツは、夫婦の時間を意識的にとること
──夫婦2人の時間を大切にしているのは素敵ですね。
松尾さん:
こういうのって意識的に取らないとなくなりますよね。でもプライオリティがどうしても後ろの方だから、子どもたちの予定とかがあると、優先順位が下がってしまう。
でもそのうち、なんとなく心がすれ違っていくと家の中が良い感じの空気で回らなくなるんです。お互いがあさっての方向を向いている空気感が続くと、家の中にモヤがあるなと気づくんです。
本当にささいなことでいいんです。女性だったら大切にしてもらうとか、優しい言葉をかけてもらうとか。旦那さんもきっと同じだと思います。自分が守りたい人がここにいると思ってもらえるようにしたいです。
お互いが未熟だからこそ、声を掛け合う時間は大事だと思います。夫婦の時間は、意識して取らないと日々の忙しさに忙殺されて、そんなことを大事だとさえ思わなくなるときがいちばんヤバいぞと、空気が悪くなったときに気づきました。
──ご夫婦仲が良いイメージが強いですが、そんなこともあったんですね。
松尾さん:
2人目、3人目が生まれたあたりで夫婦の時間が無くなって。ちょっとなんか違うぞ、お互いがツンケンしているなと思いました。
だからデート時間はマスト事項に。夫からの提案だったんですが、「デート日」を復活させようと。元々長女のときにはあったんですよ。月に1回、2人だけで映画に行ったり、ご飯を食べに行ったりしていました。
3人目が生まれてからなかなか2人でご飯に行くことはできていないのですが、近くのカフェなどには行っています。
──「デート日」でお互いの認識の違いを埋めていくのですか?
松尾さん:
私は、夫婦間で考え方に違いがあっていいと思うんです。そう思っているんだということを認識し合うのが大切だと思って話すようにしています。
きっとこうだからに違いない、あのときもそうだったぞ、という風に、夫婦で話さないと妄想で悶々とそれぞれ像が出来上がってしまうんです。なのでなるべく早めに話し合ってコツコツ対処するようにしています。
PROFILE 松尾翠
フリーアナウンサー、SENSE OF WONDER主宰。2歳3歳7歳の3児の母。夫はJRA騎手の福永祐一。2006年フジテレビ入社、2013年結婚を機に退社し京都に移住。出産後、本を通して体験することをモットーに「SENSE OF WONDER」設立。選書、イベント、執筆などを行い、オンラインショップで毎月おすすめの本や逸品を受注式で取り扱う。Instagramで情報を発信中。
取材・文/内橋明日香 写真提供/松尾翠