福永祐一騎手と結婚後、フジテレビを退職。その後京都へと引っ越し、生活を送っているフリーアナウンサーの松尾翠さん。現在3人のお子さんの子育て中の松尾さんに、子育てのモットーや京都での生活について伺いました。

3人の育児 それぞれに違った個性が面白い!

──現在、7歳、3歳、2歳の3人のお子さんの子育てをされていらっしゃいますが、お子さんが増えるにつれて生活に変化はありましたか?

 

松尾さん:

だいぶ変わりましたね。子どもが1人のときはお仕事をしてもスケジュールが立てやすかったんですが、年子で2人目、3人目を産んだので、なかなか京都を離れることができない時期がありました。

 

今は下の子も1歳になって落ち着いてきたところで、またここから少しずつできることから社会貢献していけたらいいなと思っているところです。

松尾さんと3人のお子さん

──お子さんそれぞれに、どんな個性がありますか?

 

松尾さん:

子どもたちはそれぞれ全然、違います。

 

長女は面白いんだけれど、穏やか。自然が好きで研究肌みたいなところがあって。動物のドキュメンタリーを見るのが好きなのと、人の気持ちを考えることや誰かのサポートをすることに喜びを感じるタイプみたいです。私も長女を尊敬するところがあって、心の在り方が素敵だなと思うところがあります。

 

次女は、真ん中ということもあり、ゴーイングマイウェイな感じで。自己主張もしっかりするし、決めたことをなんとしてでも自分でやり遂げたいというところがあります。その分、イヤイヤ期はすごかったんですけど、たくましい生命力がみなぎってるなぁと。

 

3番目の長男は、私も孫みたいな気持ちでいるんですけど(笑)。みんなに可愛がられて、もうちょっと厳しくした方がいいのかなと思うくらいです。ダメって言ったら、笑ってごまかそうとして、もう社会性を身につけているので違った意味でたくましいです。

松尾さんとお子さん

 

──お子さんは3人で一緒に遊んでいるのですか。

 

松尾さん:

子ども同士でルールを作って、独自の世界で遊んで過ごしていますよ。遊びの中で、大人が教えるのとはまた違った学びをしているのが、長女だけのときとは違って面白いです。

 

私自身の子育てに対する考え方も変わってきて。今はなるべく、なにか本当に困ることがあるとき以外は手を入れずに、見守るようにしています。

 

子ども一人ひとりを信じる 心が楽になる子育て

──子育てへの考え方が変わったというのは具体的にどんなところですか。

 

松尾さん:

自分自身の視点が変わったように思います。

 

もちろん、洗濯機を134回まわすとか、家が散らかるとか、送迎の回数が増えるとか、そういった意味での大変さはありますよ。

 

でも、大変だと思っていたことが意外と大丈夫だということがわかって、心が楽になりました。あきらめの境地というのもありますが(笑)。

 

コントロールしようと思っても3人いると無理なので。真っ当な子育てかはわからないですけど、命の力そのものを信じたいなと思っています。その子たちの個性で、いちばんいい形で成長していくだろうと、ある程度、自然にゆだねることができるようになりました。

松尾さんとお子さんのカフェでの様子

 

──3人の子育てをされている今と局アナ時代を天秤にかけられるものではないかもしれませんが、率直にどちらが大変ですか?

 

松尾さん:

局アナ時代はもう遠い前世のようです(笑)。

 

昔の方が、早朝や深夜の番組など不規則な生活で、心も若かったことで感じるプレッシャーなどもあって、やっぱり大変だったかな。でも今は、自分のスタンスとペースでは決して動けないから、思ったようにはいかないです。

 

推し量れない労力が家の中にはあるじゃないですか。3人の子育てをして、家事をして、子どもたちのスケジュールも色々あって、さらに仕事をするのは、決まった時間に仕事だけに集中できる方が楽だなと思うこともあります。

 

でも幸せの密度は違っていて、感じ方も違うし自分の受け取り方も変わりました。自分でどうにかできないことの方が面白いと思えるようになったんです。子どもたちもひとりひとり違うので、想定外の、右斜め上の、緯度経度が違うことが頻繁に起きるので(笑)。幸せというものは子どもたちから贈られるギフトだなと思います。

 

──子育てのモットーはありますか?

 

松尾さん:

「自(おの)ずから然(しか)り」というのを大切にしています。

 

本来のその人自身を信じてあげたい。何者かになったから、その人はすばらしいんじゃなくて、何者にもならなかったとしても、その人がその人であるだけですばらしいと思っています。

 

子育ては、そのすばらしいものを見守らせてもらっているんだと思います。子どもたちがそれぞれに、ひとりの人間として自然な状態で幸せになってほしいなと思っています。

 

京都は「元々縁があったように感じる」居心地のいい場所

──結婚を機に京都に引っ越して9年になるそうですが、京都での生活はいかがですか。

 

松尾さん:

私は、両親の転勤で引っ越しをして小学校が3回変わったこともあって、元々どこでもやっていくのが楽しいタイプなんです。京都に来て素敵な友達もたくさんできましたし、暮らしやすさでいうと元々縁があったんじゃないかと思えるほど、ずっと居たいと思っていますね。

京都の街中を歩く松尾さん

 

京都は、山がどこに行っても見えるんです。寒くなったら雪がかかって、川も多く流れていて。子どもたちと虫の音を聞きながら歩くんです。紅葉の色や、イチョウ並木に光があったのを見て「ママ、葉っぱが金色だよ!」って。その葉っぱを使って長女は、工作を作ろうと言って「これはこういうアイディアがあるな、私やっぱり天才やな~」というのとかが、かわいいですよ。

 

東京で仕事をしている時に感じたことがなかったことを体感できて、より私も自分らしく生活できています。そうなると力がみなぎってきて、よしまたやるぞ!という気持ちになります。

 

PROFILE 松尾翠

フリーアナウンサー、SENSE OF WONDER主宰。2歳3歳7歳の3児の母。夫はJRA騎手の福永祐一。2006年フジテレビ入社、2013年結婚を機に退社し京都に移住。出産後、本を通して体験することをモットーに「SENSE OF WONDER」設立。選書、イベント、執筆などを行い、オンラインショップで毎月おすすめの本や逸品を受注式で取り扱う。Instagramで情報を発信中。

取材・文/内橋明日香 写真提供/松尾翠 ※写真はプライバシー保護のため一部加工しています。