2.親告罪とセクハラ


それでは、麻生財務大臣が言っていた「親告罪」とはどのような意味なのでしょうか?

 

そもそも親告罪とは

親告罪は「被害者による告訴がないと処罰できない犯罪」です。犯罪には、親告罪とそうでない罪があります。親告罪ではない罪の場合、被害者が刑事告訴をしなくても、警察などの捜査機関が自主的に捜査を進めて犯人を検挙・逮捕します。

 

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これに対し、親告罪の場合には、被害者による刑事告訴がないと処罰できないので、告訴されないと、警察は捜査を開始しません。先ほどのセクハラにおいて成立する可能性のある罪は親告罪となっているのか、みてみましょう。

 

・強制性交等罪

強制性交等罪(旧強姦罪)は、親告罪ではありません。そこで被害者が刑事告訴しなくても、警察が捜査を進めて犯人を逮捕する可能性があります。

 

・強制わいせつ罪

強制わいせつ罪も親告罪ではありません。そこで、セクハラ被害に遭って強制的にキスされた場合などには、告訴をしなくても相手を処罰してもらえる可能性があります。

 

・名誉毀損罪、侮辱罪

名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪です。そこで、セクハラ被害で侮辱されたり不名誉な事実を後悔されたりした場合には、警察に告訴をすることによって相手を処罰してもらえます。

 

以上のように、セクハラが行われた場合に成立する犯罪には「親告罪」とそうでないものがあります。 先日、麻生財務大臣は「セクハラ罪は存在しない」とか「セクハラ罪は親告罪なので告訴がない現状では罪にならない」ということを言っていましたが、これらの理解は正しくありません。