夫の両親と三世代同居している我が家で、長年にわたり水面下に存在した心配事、それがお墓問題です。

 

代々のお墓の継承問題は、核家族化が進み一人っ子同士の結婚が増えている最近、特によく話題にのぼります。しかし我が家のお墓事情は、それとはまたちょっと違うものなのです

 

富士山麓の空っぽのお墓

 私と夫が結婚した時、義父母はすでに早々と、自分たちが入るお墓を買っていました。受け継ぐべき代々の墓地を持たない義父母は、さっぱり結婚する気配のない息子たち(夫とその兄)に負担をかけまいと、永代供養墓(墓参りや管理をする遺族がいなくても、契約で決められた期間きちんと手入れをしてくれる墓地)を用意していたのです。

 

ところが、降ってわいたような次男(夫)の結婚と、予想外の孫の誕生で、その墓地は義父母にとって、途端に困った負債と化しました。

 

なぜならば、購入した墓地は、私たちが住んでいる関東からは遠く離れた富士山麓の、アクセスの悪い広大な墓地公園の一角にあるからです。ちょっとお墓参りにという気持ちで訪れるわけにはいかない立地なのです。

 

ただでさえ夫の仕事が不規則で先の予定の立ちにくい我が家、家族でちょっと遠出をするにも一苦労です。もし富士山麓のお墓に義父母のお骨が納められたら、お墓参りには年一回も行けるかどうかいくら永代供養墓とはいえ、家族のお墓を何年も放っておくのはやはり気がひけます。

 

「どうしてそんな離れたところにお墓買っちゃったんですか?」と聞くと、義母は「だってお墓参りしてくれる人がいないから、どこでもいいと思って勢いで買っちゃったんだもの」とのこと。

 

当時すでにいい歳だった二人の息子をまったく当てにしていないのは、いっそ清々しいほどですが、それでもなぜそんな離れた場所に?という同居嫁の疑問は解消されません。

 

富士山麓にそびえる空っぽの墓石に思いを馳せるにつれ、いっときの勢いでお墓を買うのはやめていただきたい、そうつくづく思うのです。