家で過ごす時間が多くなった、昨今。家時間を充実させるための方法はいろいろありますが、なかでもおオススメしたいのが、家庭菜園。「やってみたい」と気にはなっているものの、「庭がないとできないのでは?」「土いじりがちょっと」と、なかなか始めるまでに至らない…という人も多いのではないでしょうか。

 

今回はそんな心配がいらない!家庭菜園をご紹介します。それは、台所用スポンジ一つあれば簡単にできる「水耕栽培」と呼ばれるもの。

 

葉野菜に向いているため、たとえばハーブを育てて肉料理に少し添えたり。それだけで普段の料理がまた特別なものになるはずです。「植物を育てる」という行為が、生活に潤いをもたらしてくれ、子どもとも一緒に楽しむこともできます。

 

…と、そんないいことづくめの水耕栽培のハウツーについて、園芸家の深町貴子さんに取材をしてきました。

明日からでもできる!「水耕栽培」苗から・用意するもの

前回「自宅で水耕栽培!葉野菜はペットボトルで育てる」では、タネから育てる方法をご紹介しましたが、今回の記事では、より気軽な方法をご紹介します。花屋さんなどで買ってきた苗から、増やして育てる方法です。

 

用意するものは、「育った苗・スポンジ・容器・水」だけ!あとは、カッターやハサミ、ペンやテープなどを必要に応じて使用します。

「水耕栽培」苗から育てる方法

切り離したペットボトルの上部(飲み口のほう)をスポンジにあて、目印をつけます。

 

スポンジの中心よりも少し深めに、カッターで切れ込みを入れます。

ペットボトルにスポンジをはめこみ、スポンジのすぐ下あたりに目打ちなどで5mmほどの穴を開けます。反対側も同様に穴を開けます。

苗を取り出し、根のまわりの土を落とします。竹串を根の間に入れて少しずつほぐしていくと、キレイに土を取り除くことができます。

 

土を取り除けたら、水の中で根を軽くふり洗いをします。ここで細かい土を落とします。根が白っぽく透き通ったらOK。

 

根が水を吸いやすいように半分に切ります。

スポンジの不織布面を上にして、根と茎の切れ目にスポンジを挟みこみます。根元とスポンジの表面の高さをそろえ、根がはみ出ることがないように。

 

根がつくくらいに容器に水をはります。根が呼吸をできるように、空気のスペースを1cmを開けておいてください。はじめは根の汚れで水が濁りやすいので、濁ったらこまめに水を取り替えるといいでしょう。

 

 

ペットボトルにあまり光があたりすぎると水にコケがはえてくるので注意。

 

ペットボトルをハンカチやカバーで覆うなどして、遮光をしてあげることをオススメします。ペットボトルの保温用カバーなどでもいいでしょう。

 

明日からでもできる!「水耕栽培」が生活にもたらす潤いとは

自宅で野菜を育てることの楽しさを、深町貴子さんに教えていただきました。

 

「野菜を育てることの楽しさはもちろん、家にこもりがちな昨今でも、おひさまや外の空気に触れることってふれることって大事だよね、というライフスタイルの部分を伝えたいですね。園芸をとりいれることで朝起きたら、変化があり、“ちょっと明日が楽しみに”なり、家族が健康的に前向きに生活できます。そんなことを楽しんでいただけたらと思います。全くの初心者のかたには、とっつきやすいという意味では今回紹介したやりかたはぜひオススメです。そのあとのステップで、トマトやナスなど、土を使う野菜を楽しむことができると思います」

 

「家庭園芸といえば、汗水たらして土を耕して……というイメージもありますが、今回紹介しているのは、そういったこととは全然違うもの。趣味としてというより、食べることや寝ることのように、生活の一部として楽しんでいただけたらと思います。ハーブを窓際で育てたものが、そのまま食卓にのる。それだけで、すごく暮らしが豊かになると思うんです。お子さんと一緒に楽しみながら育ててみてくださいね」

 

「こんなに小さな世界で自分だけの畑を作ることもできます。フィギュアを置いたりして、インテリアとして作ってもいいですね。お子さんと一緒にイメージしつつ、オリジナルの小さな畑を作ってみては?」

 

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PROFILE 園芸家・深町貴子さん

園芸家・有限会社 タカ・グリーン・フィールズ 専務取締役。東京農業大学短期大学部卒業。園芸のハウツーや、植物を育てる事の楽しさや喜びを広める活動を行う。現在では東京農業大学短期大学部生物生産技術学科非常勤講師のほか、NHK『趣味の園芸 やさいの時間』講師、NHK『あさいち「グリーンスタイル』」コーナー講師としてテレビ出演も。著書に『室内でかんたん、土いらず!水耕ガーデン』(NHK出版)等。

取材・文/松崎愛香 撮影/田尻陽子 取材協力/有限会社タカ・グリーン・フィールズ