1999年のデビューから約20年間にわたり活躍を続けてきた700系新幹線が東海道新幹線から引退します。前面のカモノハシのような形は子どものみならず、大人の鉄道ファンにも人気でした。東海道新幹線での最後の700系を追うべく新大阪駅に出かけてみました。

そもそも700系とはどんな車両?

 

今回引退する車両はJR東海の700系です。39日以降もJR西日本にいる700系は活躍を続けますが、東海道新幹線では見られません。

 

700系の試作車(テスト車両)がデビューしたのは1997年のことです。東海道・山陽新幹線のスピードアップと製造にかかるコストダウンを実現するためにつくられました。700系は空気の流れにじゃまされず、運転室から見やすくするためにカモノハシのような前面を取り入れました。営業最高速度は500系よりも少し遅い時速285キロとなりましたが、東海道・山陽新幹線のスピードアップのためにがんばりました。

 

1999年から数多くの700系がつくられ、0系や100系といった古い新幹線が次々と消えました。デビュー時から「のぞみ」を中心にがんばりましたが、2012年に定期「のぞみ」から引退。新しい新幹線車両N700系が増え、202038日を持って700系は東海道新幹線から引退することになりました。

やっぱり700系カモノハシは鉄道ファンの人気者!

700系を追うべく東海道新幹線の始発駅、新大阪駅に行きました。JR東海は700系の特別ホームページを開設し、2月から38日までの700系のダイヤを公表しています。筆者が訪れた日は「のぞみ305号」東京発新大阪行きに使われました。

 

 

10時46分に多くの鉄道ファンが見守る中、700系が新大阪駅に入線。やはりN700系よりも幅が広いカモノハシのような前面が目立ちます。

 

前面には「700 ありがとう」と書かれたメッセージが貼られていました。JR東海からも愛されていた車両であることがよくわかります。

 

 

先頭車の側面にも「700ありがとう」のメッセージがあり、700系の形をした青帯になっていました。メッセージにあるとおり、東海道新幹線でのラストランは202038日です。

 

700系の行先表示機は方向幕となっていますが、N700系はLED行先表示機となっています。10年以上前は当たり前に見られた方向幕も今となってはレトロに思えます。

 

側面には通常の「SHINKANSEN Series700」も貼られていました。700系が本格デビューした1999年の時から約20年。本当にお疲れ様でした。

 

この後、多くの鉄道ファンや利用客に見守られながら、新大阪駅を発車しました。なおホームでの撮影の際には必ず駅員や警備員の指示に従うようにしましょう。

東海道新幹線ラストランとなる3月8日には特別セレモニーが

東海道新幹線ラストとなる38日には東京駅19番線で「ありがとう東海道新幹線700系」出発式、新大阪駅24番線では「ありがとう東海道新幹線700系」引退式が行われます。ラストランとなる臨時「のぞみ315号」のダイヤは以下のとおりです。

 

臨時「のぞみ315号」のダイヤ 東京駅:947分発 品川駅:954分発 新横浜駅:1006分発 名古屋駅:1130分発 京都駅:1205分着 新大阪駅:1220分着 ※全車指定席

 

新横浜~京都間の車内では700系車体を再生したアルミでつくられた特別メダルと乗車記念カードが贈呈されます。 また、特別セレモニーでは「ありがとう東海道新幹線700系」に乗る列車担当乗務員への花束贈呈やくす玉開花が行われます。

 

特別セレモニーでは多くの鉄道ファンが集まることが予想されます。黄色い線の内側で撮影するなど撮影ルールは守るようにしましょう。また、ホームでの三脚や脚立の利用は禁じられています。ホームを走ると危険です。子どもを連れている場合は手を引くことをお忘れなく。

これからの新幹線はどうなるの?

700系は東海道新幹線からは引退しますが、山陽新幹線では当分の間、700系のがんばっている姿を見られることでしょう。山陽新幹線には「ひかりレールスター」になった700系もいます。

 

東海道・山陽新幹線ではN700系が天下を取ることになります。こちらも当分は「のぞみ」を中心にがんばり続けることでしょう。一方、新しい新幹線であるN700S系が今年7月にデビューする予定です。

 

東海道・山陽新幹線以外では山形新幹線向けの新しい新幹線車両が話題となっています。現在、山形新幹線では最高時速275キロのE3系が利用されていますが、新しい車両は最高時速300キロになる予定です。デビューは2023年春としています。

 

これからもどんどん新しい新幹線がデビューするたびに、引退する新幹線車両も出てくることでしょう。未来の新幹線はどんなデザインになるのか、心待ちにしたいと思います。

 

文・撮影/新田浩之