風邪に抗菌剤は必要か?
急性上気道炎の原因の70~80%はウイルス感染症なので、いわゆる「風邪」には、細菌感染したときに使われる抗菌剤は効きません
(※1)。風邪をひいていて鼻水が膿っぽくなってもそれは、細菌感染とは限りませんし、細菌感染でも半数は自然に治癒するといわれています。ただし、ある一定の基準を超えて症状が強い場合には、抗生剤が必要となってきます。 また、ウイルスに感染して体が弱っているところに細菌に感染してしまうことを「二次感染」といい、風邪が治ったと思った後にまた悪くなってしまった場合には、抗菌剤が必要になってくることもあります。
抗菌剤の乱用により耐性菌が増え、治療できない耐性菌の感染の広がって死亡の増加も懸念されています。風邪に対して不要な処方が多いとも言われていましたが、医療者だけでなく受診する側も知識を深めることが必要と考えています。 風邪になったとしても、症状が本格化する前にゆっくり休むと治りも早いですし、先人の知恵を借りて、風邪のひき始めに葛根湯を飲むのもいいでしょう。 みなさんもこれを機に、風邪になった際の対処法を模索してみませんか?
<参考>AMR臨床リファレンスセンター
(※1)厚生労働省「薬剤耐性について」
文:木村眞樹子