43歳の誕生日直前に再婚し、不妊治療の保険適用打ち切りの壁にぶつかった新山千春さん。「もっと早く知っていれば」という後悔、自費診療のカード明細への恐怖、ホルモン剤で6キロ増えた体。過酷な現実と向き合いながらも、「やめる」ではなく「卒業」を見据え、人生のゴールを2本定めた現在の覚悟を伺いました。
「もうひとり家族が増えたら」
── 今から3年前の42歳のときに14歳年下の方と再婚し、先日不妊治療をされていることを公表されました。お子さんについてはいつ頃から考え始めていたのでしょうか。
新山さん:夫とは5年間お付き合いをして結婚したのですが、私は娘がいるので「もうひとり産みたい」という気持ちはそこまでないまま結婚しました。

結婚後、家族として一緒に過ごしていくなかで、夫の周りでお子さんが産まれるようになってきて、「うちにもうひとり家族が増えるのも、にぎやかで楽しそうだね」というような話をするように。私も夫の気持ちがよくわかったので、次第に妊活について具体的に考え始めました。
不妊治療の保険適用「43歳未満」に疑問も
── 4年前から43歳未満の女性の不妊治療が保険適用に。40歳未満であれば通算6回まで、40歳以上43歳未満であれば通算3回まで、保険適用で治療が受けられることになりました。
新山さん:私が結婚したのは43歳の誕生日の少し前でした。43歳からは保険適用にならないので、今は自己負担で治療しています。不妊治療はただでさえ高額なので、できれば保険を使いたかったというのが正直なところです。年齢で打ち切られてしまうことへの疑問も感じていますし、夫とは5年間お付き合いしていたので、「このことをもっと早く知っていたら」という後悔もあります。
働く女性が増えているなかで、仕事の実績を積んでキャリアを築き、納得したうえで妊活をしたいという方は多いはず。妊活を考えている方はぜひ知っておいてほしいなと思います。
── 4組にひと組の割合で不妊治療をしていると言われています。公表後に、新山さん宛にメッセージが寄せられることもあるそうですね。
新山さん:私と同じ年代で不妊治療に向き合っている方からのメッセージが多く、「保険適用の年齢をあげてほしい」ということに対して、「声を上げてくれてありがとうございます」とお礼のメッセージをいただくようになりました。
── 女性がキャリアを築きながらお子さんについても考えていかなくてはならないなかで、妊娠・出産の年齢の壁にぶつかる方も多く、難しい問題だと感じます。
新山さん:年齢とともに妊娠の確率が下がることや、さまざまなリスクがあることは理解しています。それでも、子どもを授かりたいと願う気持ちは、年齢だけで簡単に区切れるものではないと思います。医学的なリスクの理解を大切にしながらも、妊娠を望む女性一人ひとりの気持ちに寄り添い、希望を持って選択できような制度になってほしいと願っています。
同世代の友人で不妊治療をしている人が5人いて、お互いの悩みや情報を共有し合っているのですが、DMで来るメッセージには「不妊治療について誰にも言えず孤独を感じている」とか「不妊治療をしていることを職場に言いにくい」という方が多くて。「コメントだと周りに知られてしまうから、DMで送ります」という言葉も添えられていました。
不妊治療をしているかどうかは見た目にはわからないので、周囲の理解を得られないまま治療に向き合って悩んでいる方が多いことを知って。センシティブな話題ではありますが、もっと理解が得られるようになったらいいですね。