命の尊さと向き合い続けたからこそ

卵巣がん さくら
延命治療中。車椅子でも先に調べておけば、行けるところはたくさんある

── お互いに無理をせず、気持ちを伝え合いながら過ごされていたんですね。おふたりで過ごした最期の時間で、印象的だった出来事はありますか?

 

さくらさん:結婚してから、ふたりの写真をまとめたアルバムを作っていたんです。2022年のクリスマスに「アルバム見ながらちょっと話をしようか」って言って。そのアルバムを一緒に見ながら「楽しかったね」とふたりのこれまでを振り返りました。

 

そのころにはもう痛み止めが強くなっていて、意識はあるんですけど、普通に話せるのはギリギリだったんです。ひとり目の夫を看取った経験があったから、「そろそろだな」とわかったのかもしれません。

 

クリスマスを過ごした翌年、2023年1月に夫は亡くなりました。最期にふたりの時間を過ごせたこと本当によかったです。

 

── 最期までおふたりの時間を大切にされていたんですね。ふたり目の旦那さんもがんで亡くされ、もうすぐ4年になります。ひとり目の旦那さんのがんが発覚してから20数年、かけがえのない日々や命の尊さと向き合い続けてこられたと思います。さくらさんは今、どんなことを大事にされていますか? 

 

さくらさん:さまざまなSNSで「笑っていたい」「笑顔でいたい」と書いているんです。それは、これまで人生の長い期間を、闘病や看病に費やしてきて、やりたいことがやれない、働きたいのに働けない悔しさを何度も経験してきているからかもしれません。

 

実際は不安が強いタイプなので、がんの定期検査の前は不安でしかたなくなる。全然、前向きになれない日もあります。泣くときは泣くし、感情が忙しいんです。今も病気があって、1週間ずっと元気でいられるわけでもありません。すごく動いた日のあとは2日間寝たきりのような状態になってしまうこともあります。

 

でも、だからこそ、楽しみを作ってなるべく前向きに気分よく過ごしたいと思っています。それにやっぱり周りの人から見ても、笑顔のほうが見ていて気持ちいいですよね。だから、笑顔でいることを意識していますね。

 

取材・文:竹田りな 写真:さくら