診断名がわかった後も不安は続くけれど
── 3歳で気管切開はかなり珍しいのでは。
渡辺さん:はい。入院先の病院でも、ここまで動ける子が3歳で気管切開を受けるのは初めてのケースだと言われました。当時の私は誤解していて、気管切開は延命治療の最後のイメージがあって、ローハッド症候群の疑いと言われる以上にショックでした。
でも医師から、「このままだと感染のリスクがあるほか、意識不明でまた運ばれ、場合によっては命を落とす可能性もある。そうではなくて、気管切開は瑚々の成長をうながすもので、これから瑚々が楽しく生きるための手段だ」と説明されました。喉に気管切開の穴は空いているけど、空いているだけで普通の子。術後、落ち着いたらご飯も食べられるし、声質は少し変わるかもしれないけど、話せると聞いて決めました。
── ただ、気管切開の手術を受けたものの、その2週間後にアナフィラキシーショックを起こし、そのまま寝たきりに。その後、正式にローハッド症候群と診断名がつきました。アナフィラキシー後はしばらく入院生活を送ったのち退院されたそうですが、退院後はどうやって過ごされたのでしょうか。
渡辺さん:再入院中、保育園に「退院後は酸素療法になること」を伝えると、退園を勧められました。ほかに通えるところがなかったので退院後はしばらく自宅療養をしていました。その後、今年の4月から車椅子に乗った状態で支援学校に通っています。
ローハッド症候群は、日本国内の医学論文で2007年に初めて詳細を報告されたばかりの新しい疾患です。今は日本国内では「小児慢性特定疾病」や「指定難病」として指定されていません。今まで各国で研究が進められているようですが、原因は不明で、治療法は確定されていません。ローハッド症候群は、「急性肥満」「低換気」「視床下部および内分泌の異常」「自律神経機能不全」など、症状が多種多様です。また、ローハッド症候群とアナフィラキシーショックの関連はわからないこと。瑚々は寝たきりになりましたが、必ずしも、ローハッド症候群を患った人が寝たきりになるわけではありません。
ローハッド症候群の人は、今回の瑚々のように診断名が伝えられるまで時間もかかります。診断がつくまで不安ですし、診断名がわかった後も不安は続きます。
今は、ローハッド症候群と診断名がついたことで患者会にも入って、なるべくひとりで抱え込まないようにしています。まだまだ情報が少ない病気です。それでも、悲しみにくれるだけではなく、瑚々も私も人生が彩るように日々を過ごせるように、毎日模索しながら過ごしています。
取材・文:松永怜 写真:渡辺未来