交通事故にあった大東さんの心を深く傷つけたのは、保身に走る加害者の対応でした。謝罪のないまま背負わされた心の傷。しかし、葛藤の末に彼女が辿り着いたのは、「加害者も人生を狂わされる」残酷な真理でした。ヨガを通じて「何者でもない自分」を受け入れ、焦りから解放された今、彼女は息子に説きます。交通事故の「気をつけて」の言葉に込められた、加害者にも被害者にもならないための真意とは。
加害者からの一報は「示談にして」
── 2008年、渋谷の交差点でマイクロバスにはねられ、全治3か月の重傷を負った大東めぐみさん。多数のレギュラー番組を降板し、足が元に戻るまでに2年。失ったものはあまりに大きかったといいます。ですが、なかでも心をいちばん傷つけたのは加害者の対応だったそうですね。
大東さん:事故の直後、私がまだ救急車で運ばれているときに、相手の男性からマネージャーに電話があったんです。「自分の職業はドライバーで、免許が止まると仕事に影響が出るから、示談にしてほしい」と。
こちらがどんな状態かも確認しない、保身のための電話でした。ところが、「何を言ってるんですか、こっちは全治3カ月の重傷ですよ。当事者同士の示談ですむ話ではありません」とマネージャーが伝えると、それきり音信不通に。その後は弁護士を立てられて直接話すこともできず、最後まで誠意ある謝罪はありませんでした。

── 大ケガを負わされたうえに、届いたのが謝罪ではなく、示談の申し入れだった。怒りや悔しさでやりきれない思いだったのでは?
大東さん:もちろん怒りもありました。でも、それ以上に「人としてきちんと向き合ってもらえなかった」という悲しみのほうが強かったんです。私はテレビなどでずっとリポーターをしていて、人の話を聞く仕事をしてきました。言葉の通じない海外の僻地でのロケでも、時間をかけて相手の懐に入り、心を通わせることをモットーにやってきたんです。どんな相手でも、心と心でぶつかれば必ずわかり合える、そう信じてきました。だから、私をはねた彼だって故意に事故を起こしたわけではないのだから、話せば通じ合えるはずだと思っていたんです。
せめてひと言、「申し訳なかった」と向き合ってくれたら、私自身も気持ちの整理がついて前に進めると思っていたのに、いつまで経ってもそれがない。そのことがむなしくて、心の傷として残りました。