交通事故で骨折や靭帯断裂など想像を絶する被害にあったタレントの大東めぐみさん。以来、車を想像するだけで動悸が止まらず、15年間、ハンドルを握れませんでした。被害者として「車の恐ろしさ」を骨の髄まで知るからこそ、運転をためらう心を払拭できたものとは?恐怖と共存しながら、交通ルールに「命」を託す、運転という人生の再起に向けた話を聞きました。

事故に遭って自身も15年間運転できなくなり

── 1990年代にタレントとして人気を博し、現在は侍ジャパンU-12代表監督などを務める大久保秀昭氏の妻で、2人の息子の母でもある大東めぐみさん。2008年、横断歩道を歩行中にマイクロバスにはねられ、全治3か月の重傷を負いました。その後15年間、ハンドルを握ることがなかったそうですね。

 

大東さん:自分が車を運転する状況を想像するだけで、心臓がバクバクして体が強張ってしまって…。私は交差点内で、時速20キロほどのスピードの車にはねられたのですが、それでも左足を4箇所骨折し、膝の靭帯がちぎれ、歯が挫滅するほどの大ケガをしました。

 

医師からは「お年寄りだったら命を落としていたかもしれない」と、言われたんです。あれから15年以上経ちますが、事故に遭った現場の交差点には、今もほとんど近寄ることができません。

 

── 命の危険を感じるほどの大ケガを経験されたことで、車に対する恐怖心が深く刻み込まれてしまったのですね。

 

大東さん:それはすごくあります。ただ、被害に遭う怖さ以上に、「自分が加害者になるかもしれない」という恐怖のほうが大きかったんです。交通事故をわざと起こす人なんていません。私をはねた運転手だって、まさかその日に人をひくなんて夢にも思っていなかったはずです。

 

自分が加害者になる可能性を、人は無意識に排除して生きています。でも、私は被害者になったことで、たった時速20キロでも車は簡単に人の命を奪いかねない凶器となることを、身をもって知りました。だからこそ、もしも自分の運転で誰かの命を奪ってしまったら…。そう考えると恐ろしくて、ハンドルを握る気にはなれませんでした。