イベントや避難所などの「混雑情報」にも応用
同社が取り組む行列対策は、「トイレ個室の中」だけにとどまりません。ビル内全体のトイレの混雑情報を各階トイレの入口にデジタルサイネージでリアルタイム情報を表示。利用者はそれを見て、空いている別フロアのトイレに向かえます。混雑が分散されるため、ビル全体のトイレが有効に利用され、さらに行列が減るというわけです。
バカン社はこの技術を応用して、トイレという枠を超え、イベントの混雑や人気店舗の行列解消などにも取り組んでいます。とくに力を入れているのが、災害時の避難所の混雑情報をリアルタイムで地図上に表示するといった、防災情報インフラ作りです。

「災害が起こって避難所に向かったら被災者が集中して満員で、受け入れてもらえない──。緊急事態だからこそ焦り、困ってしまいますよね。そんなとき、近くに空いている避難所がわかれば、そちらに向かうこともできます」
すでに全国200以上の自治体と連携し、1万か所以上の避難所の混雑状況を把握できるようになっています。
同社がもくろむのは「あらゆる空間の状態を見える化すること」。さまざまな場面で空間が可視化できれば、混雑を先回りして人の動きも変わり、空間の利用もより効率的になり、ひいては利用者全体が快適に過ごせるようになっていく。トイレの個室で光るディスプレイとそれを支える技術は、空間利用のさまざまな可能性を見せてくれているのです。
取材・文:鷺島鈴香 写真:株式会社バカン