浪人生活を経て奨学金で大学へ「これ以上を望んではいけない」

── 大学は奨学金で通ったと聞きました。

 

町さん:高3の3学期の始業式に母の病気が発覚し、容態が安定する前に卒業式を迎えました。先生や同級生は、母が倒れたことまでは知っていましたが、詳しく事情を説明できないまま卒業することになって。その年は受験どころではなかったのですが、父からどうしても大学に行ってほしいと言われていたので、浪人することにしたんです。

 

母の容態が安定してから、担任の先生に報告に行くと奨学金の話をされました。手続きには高校の成績が必要だったそうで、「また学校においで」と言ってくれて。当時の私は、大人ぶって、なんでも自分でできるという感じで生きていたのですが、やっぱり子どもですね。奨学金の手続きについて何も知らなかったんです。先生には感謝しています。

 

── 1年の浪人生活を経て見事、大学に合格。右半身の麻痺と、言語障害の後遺症を抱え、車椅子での生活を余儀なくされたお母さんを自宅で介護しながら大学生活を送ったと伺いました。同級生は、キャンパスライフを謳歌しているときだったと思います。

 

町さん:楽しそうな友達を見ると羨ましくて仕方なかったのですが、羨んでも仕方ありません。自分の苦労話をしても理解してもらえないので、人にも打ち明けず抱え込んで。経済的な事情から弟が進学を諦めているので、「私は大学に行けただけ贅沢。それ以上を望んではいけない」と思っていました。