病気を打ち明けたら見放される思いも

── パートナーの言葉が背中を押したのですね。ただ、当初は病気を打ち明けるのに大きな葛藤があったとか。

 

阿久津さん:うちは事実婚なんです。20年来の関係とはいえ、籍を入れていない間柄で「看病という重い負担を背負わせていいのか」と迷いがありましたし、病気を伝えたら、「(パートナーから)捨てられてしまうかもしれない」恐怖もどこかにありました。でも、実際に伝えてみたら、「やるべき治療をすればいいんじゃないの」と、淡々としていたので、ホッとしたことを覚えています。

 

でも、夜中にふと隣を見ると、彼がスマホで必死に病気のことを調べていたんです。口には出さなくても、彼なりに心配してくれているのだと気づいたとき、勝手な思い込みをしていたのは私自身だったと痛感しました。一方で、入籍していないことで手術の同意書にサインできないなど、制度の壁にも直面しました。

 

阿久津友紀
傷口から液を出すドレーンを手に持ち、治療のリアルを伝える

── 手術を経て、生活や考え方はどう変わりましたか。

 

阿久津さん:選ぶ服が大きく変わりました。胸の開いた服はまったく着なくなりましたし、ワイヤーの締めつけが苦痛でノンワイヤーの下着にも替えました。胸がないことで、生まれる「段差」をどうしても意識してしまいますし、「気づかれたら嫌だな」という思いはいまでもあります。

 

── 今もホルモン治療を続けていらっしゃいます。日々の困りごととは、どのように向き合っていますか。

 

阿久津さん:突然、滝のような汗が出るホットフラッシュがあったり、夜眠れなかったりします。仕事中に発汗でつらくなったときは、ミントスプレーでしのぐなど、工夫しながら向き合っています。

 

ほかにも、耳が聞こえづらかったり、考えがまとまりづらかったりすることも。これが更年期なのか、加齢によるものか、副作用なのかは正直わかりませんが、先生に「副作用のせいにしてしまったほうが楽じゃない?」と言われてから、自分を責めなくていいんだと思えるようになりました。