浮いた月5000円で何ができるか。290円に込めた「経世済民」の志
── 物価高で給料も上がらないなか、破格の安さのラーメンが生活の助けになっている人は多いと思います。
澄川さん:「経世済民」という中国の古い言葉をご存じですか。世の中をうまく治め、民衆を苦しみから救い出すことを意味します。経世済民こそ企業のあるべき姿であり、私の目標とする会社のあり方です。でも、実際には株主や自社の利益に目を向けている企業ばかりでしょう。悲しいことですね。
私は「はかたや」の経営を通じて、世の中を少しでもよくしたい。地域の人たちの生活を支え、明るく、豊かになってほしいと思っています。290円の安さでラーメンを提供するのは社会貢献の意味合いもあるんです。うちの客単価は400円くらい。いまは外食1回1000円以上がふつうですから、差し引きすれば600円以上の価格差に。週1〜2回の外食機会があったとして、よそに行かずうちのラーメンを食べていたら、それだけで月3000〜5000円浮いて、そのお金を別のことに使って有意義に過ごせるわけです。
── 外食の頻度は変わらず月5000円が浮いたら、例えば親御さんであれば、お米代にあてられるなど、暮らしも大きく変わりそうです。
澄川さん:福岡県内に10店舗を展開する「はかたや」の顧客総数は年間400万人余り。外食1回600円の節約効果があるとすると、総額24億円です。それだけのお金が消費に回されたら、ものすごい経済効果だと思いませんか。
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「値上げは甘え」という厳しい言葉の裏には、福岡の街と、そこで生きる人々への、不器用なまでの深い愛情が隠れていました。
「日常食」だからこそ、絶対に手を抜かない。そんな「はかたや」の1杯を味わったとき、あなたはそこに、どんな「想い」を感じるでしょうか。
取材・文:百瀬康司 写真:博多ラーメン はかたや