俳優業で直面した「はざま」の壁

── 憧れだった俳優に最初にチャレンジしたのは高校時代だったそうですね。
むろいさん:でも、芸能事務所のオーディションで「所属はできるけど、あなたに合う仕事があるかはわからない」と言われて。当時は障害のある俳優の前例がほとんどなく、現実を見て、一度は福祉の道へ進みました。
── 再び、演技の世界に挑戦しようと思ったきっかけはなんだったのでしょう。
むろいさん:大学時代にエキストラに参加したことで、再び演じることへの思いが募ったんです。ただ、手が映る場面で「申し訳ないけれど後ろに回ってくれる?」と配置を変えられたことがあって。悪意ではないとわかっていても、ショックでした。それでも「ちゃんと挑戦したい」という思いは消えなかったんです。
── 今は多様性の意識が広がり、障害当事者の役者も増えています。オーディションでの反応は変わりましたか。
むろいさん:少しずつですが、変わっています。ただ、私のような障害は難しいんです。手を下げて入れば健常者に見えてしまう。障害者枠では「もっとわかりやすい障害」を求められ、健常者の枠では条件が合わない。どちらにも収まりきらない「はざま」のような感覚があって、今も葛藤しています。