86年生きてたどり着いた、たったひとつの「後悔」

── これまでの歩みに、後悔されていることはありますか?

 

志茂田さん:「ムダ」はひとつもないと思っていますが、後悔しているのは「バックボーンをもっとしっかり作ればよかった」ということですね。楽観的に生きてきたぶん、自分の得意なことや強みを「これが自分だ」ときちんと自覚して、確立させることを怠っていたんです。「自分という人間の軸は何か」を突き詰めてこなかった。これは後悔していますね。

 

── 志茂田さんほどのキャリアがあっても、そう思われるのですね。

 

志茂田さん:でも、バックボーンを作るのも何歳になってもできると思うので、まだまだあきらめないでいようと思っています。これからが楽しみです。

 

 

要介護5という不自由な体になりながらも、「老いも病も新しいステージ」と笑う志茂田景樹さん。

 

私たちはいつの間にか、最短距離で正解にたどり着くことばかりを急いでいないでしょうか。あなたがこれまで「ムダだった」と後悔してきた時間や、遠回りだと思っていた経験が、今のあなたを支える一部になっていると感じることはありますか?

 

86歳の彼が贈る「まだまだこれから」という言葉に、今、何を感じましたか。

 

取材・文:大夏えい 写真:志茂田景樹