「裏切り」に感じた、早すぎた父の再婚話

お母さんが亡くなってからの日々
お母さんが亡くなってからの日々

── お母さんが亡くなってから、生活はどう変わりましたか。

 

鉄拳さん:父は理髪店を経営していましたが、母というパートナーを失い、朝6時から夜21時まで一人で働くようになりました。家事は僕と兄の担当。祖母や叔母も手伝いに来てくれましたが、基本は兄弟二人で惣菜を買ってしのぐ日々でした。

 

── そんな多忙な生活のなかで、お父さんは再婚を考えた。

 

鉄拳さん:母が亡くなって1年くらい経ったころ、父がお見合いをしたようで、二人の女性が家に来ました。一人の方は赤ちゃんを背負っていて、僕たちに一生懸命話しかけてくれましたが、どう接していいかわからず隠れていました。

 

もう一人の方は父が気に入っていたようです。ある日、父とお風呂に入っているときに「またうちに来て、とその人に言ってくれないか」と頼まれました。でも、どうしても言えませんでした。 僕にとって母は亡くなった母だけであって、父はもしかしたら家事や子育てをしてくれる人を求めていたのかもしれませんが、僕には再婚する必要性を感じられなかった。結局、どちらの女性も二度と来ることはなく、父も再婚しませんでした。