「赤ちゃんは、ふわふわで柔らかいものだと思っていた」。出産時のアクシデントで重度脳性まひと診断された長男・嶺(れい)くん。抱き上げてもまるで棒のように突っ張っている体。周囲の赤ちゃんと「生きている世界が違う」と突きつけられる日々。しかも、この子育てには終わることがありません。18歳で支援が途切れる「福祉の断絶」という壁。想像を超えた過酷な日常の先で、ひとりの母が向き合う「制度の不条理」と、愛するわが子のために貫く「執念」の記録。

「赤ちゃんは、ふわふわで柔らかいものだと思っていた」

── 2013年、長男・嶺くんは重度の脳性まひという診断を受けました。当時の心境は「パニック状態だった」そうですね。

 

永島さん:まさか自分の子が…という思いでした。退院時のMRI検査で医師から「運動機能をつかさどる部分が真っ白になっている」と告げられたんです。「この子は脳性まひです」という宣告。希望に満ちているはずの時期に、奈落の底に突き落とされたような感覚でした。

 

── 妊娠30週での緊急帝王切開。嶺くんは産声を上げることなく、チアノーゼを起こしていました。

 

永島さん:生まれたらすぐにNICUに運ばれ、入院期間は3か月間。自分を責め続けました。管につながれた小さな姿を見て、「無事に生んであげられなかった」と、申し訳なさで毎日泣いていたんです。でも、そのときは小さく生まれても、元気に育つ子もたくさんいるので、「いつかは大丈夫になる」と、かすかな希望を捨てていなかったのですが…。

 

── 退院後の日常は、想像を絶する過酷なものでした。

 

永島さん:赤ちゃんって、一般的にはふわふわして丸くて、抱き上げると柔らかいものだと思っていました。でも、嶺は違ったんです。まひの影響で手足がつねに突っ張っていて、全身がカチカチに強張っていて…。しかも、まったく眠らない子で。少しウトウトしても、私の関節が「ポキッ」と鳴る音にさえ敏感に反応して跳ね起きるくらい。だから、私も眠れない日が続いて…。当時の記憶が抜け落ちているほど、心身ともに限界でした。