自分が母になり、かつての母の気持ちが痛いほどよくわかる──。2児の母である瀬戸朝香さんも、そんな思いを抱くひとりです。15歳で単身上京し、「帰りたい」と毎日泣いて電話をかけていたあの日。母が一度も涙を見せず、明るく包み込んでくれた「やさしさ」の裏側にあった覚悟を、今なら深く理解できるといいます。現在、ふたりの子どもをイギリスへ送り出し、かつての母と同じ立場になった瀬戸さん。画面越しに泣く娘をあえて突き放し、信じて待つ。世間からの心ない声さえも「学び」に変えて突き進む、母から受け継いだ「強さの正体」に迫ります。

15歳で上京。30年前、電話を切った後の母の涙

── 瀬戸さんご自身は、15歳で親元を離れ単身上京されています。母となった今、当時の経験が子育てに影響していると感じることはありますか。

 

瀬戸さん:それはすごくあります。私が小学4年生のときに両親が離婚して、母が女手一つで育ててくれたんです。15歳で親元を離れた私は甘えん坊で、毎日泣いて母に電話しては「辞めたい、帰りたい」と困らせていました。 そんな時、母はいつも「泣きたいときは思いきり泣きな」と温かく励ましてくれて。私の前では一度も涙を見せず、いつも明るい母のままでした。

 

でも後になって、電話を切ったあとに母も別の部屋で泣いていたと知ったんです。当時の母の気持ち、今なら痛いほどわかります。

 

瀬戸朝香
地元・愛知での仕事が入った際は、実家近くに立ち寄るそう