「現状維持」への恐怖。30歳目前で気づいた自分の足場
── 芸能活動自体は順調に見えたなか、2025年5月に所属事務所を独立。なぜ、そのタイミングだったのですか?
林さん:当時の私は「30歳」目前で、その年齢が私には大きな壁のように感じていて。28歳を過ぎたころから「このままだと、ひたすら現状維持になってしまう」ような気がしたんです。だったら、自分自身での責任で、ステップアップしたいと思い、独立を決めました。
── 好奇心旺盛で素敵です。独立してみて、実際のところいかがですか?
林さん:はじめはマネージャーさんもいなくて、メールのやりとりなどの事務作業もすべて自分で担っていました。今年の1月に写真集を発売したのですが、その写真のセレクトやレタッチの指示なども全部自分で担当したんです。膨大な作業量で、とにかく大変でした…。でも私、ヒマなのがイヤなんです(笑)。なるべくずっと仕事をしていたいタイプだから、慌ただしい今の毎日は自分に合っていると思います。
焼肉店は「親孝行」であり、自分自身の「後ろめたさ」への答え
── 忙しいくらいがちょうどいいんですね。昨年12月には、芸能以外の活動の第一歩として、地元・富良野で焼肉店「和牛焼肉 にくだらけ富良野」をオープンさせたそうですね。30歳で焼肉店オーナーとはすごいです。
林さん:実はずっと、地元に帰るきっかけがほしかったんです。もちろん、東京も好きなんですけど、やっぱり大好きな地元でも仕事がしたかった。それに、親孝行の意味合いもあって。姉も妹もすでに実家を出ているので、私が定期的に帰ってあげたいなって思っているんです。現在も拠点はまだ東京ですが、月に1回、1週間ぐらいは地元で過ごしていて、自分の理想とする働き方に近づけていると思います。いろんな経験をしたなかで地元に根ざした仕事へ回帰することを決断できた今は、どんな経験も無駄じゃなかったと感じます。もし将来に不安を感じたり迷ったりしている人がいたら、それは伝えたいですね。
思えば、目の前に現れたレールにのっかってきた人生でした。だからこそ、いま自分の足でしっかり立って、両親や地元に恩返ししてるんだって実感できるのがうれしいんです。いくつになっても、自分の足で人生をリスタートするのに遅いことはないんだなって思います。
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華やかな光を浴びながらも、どこか冷めた目で「自分の足場」を探し続けていた林さん。彼女が選んだのは、東京での現状維持ではなく、愛する地元に根を張るという、不器用で真っ直ぐな再出発でした。
「これでいいのかな」と迷いながら、正解がわからないまま進む日があってもいい。でも、林さんのように自分の「違和感」に正直になったとき、景色は変わり始めます。たとえ遠回りでも、自分の足で踏み出した一歩は、いつか誰かへの「恩返し」に繋がっていく。今日、あなたが「自分らしくあるために」手放したい迷いは何ですか?
取材・文:髙木章圭 写真:林 ゆめ