「貴嶺とはもう絶交だ」。昨日まで笑い合っていた友人が、一瞬で敵に変わる。人気子役として活躍する裏で、細山貴嶺さんは凄惨ないじめに遭い、3度の転校を余儀なくされました。逃げ場のない教室、底なしの絶望。死を意識するほど追い詰められた彼が、31歳になった今、かつての自分と同じように苦しむ人へ伝えたいのは「命を守るためなら、逃げていい」という切実な願いです。

 

※本記事は「自殺」に関する描写が出てきます。体調によっては、ご自身の心身に影響を与える可能性がありますので、閲覧する際はご注意ください。

幼稚園時代からいじめを受けるも「つい我慢を」

── 細山さんは生後2か月から子役として活躍されていましたが、学校ではずっといじめにあっていたそうですね。とてもつらい思いをされたと。

 

細山さん:最初にいじめられた記憶があるのは、幼稚園のときです。みんなで工作を作る時間があったのですが、そのときに、ある友だちが全員分の工作の材料を砂場に投げ捨てたんです。その子は先生に「貴嶺がやった」と濡れ衣をかぶせてきて。でも、「僕がやったんじゃない」と、そのときは言えませんでした。

 

完全にとばっちりですが、それで先生に怒られてしまいました。否定できればよかったんですが、平和主義というか、もめ事を起こしたくないタイプで…。「波風を立てたくない。自分がガマンして丸くおさまればそれでいい」と、考えがちな性格が災いしました。子どもがいじめる動機って、シンプルだと思います。たとえば、おとなしくて言い返さないタイプの子とか、体型などがちょっと目立つ子がターゲットにされてしまう。僕はどちらにも当てはまっていました。

 

さらには子役としてテレビに出演しているので、目立っていたのでしょう。仕事の都合で学校を早退するのも、同級生からすると「なんで貴嶺だけ早く帰れるんだよ」とおもしろくなかったのかもしれません。小学校はインターナショナルスクールに進学したのですが、何かと目をつけられていじめられました。

 

細山貴嶺
さまざまな人気番組に出演

── インターナショナルスクールというと、多様性や自由なイメージがあります。そこでもいじめがあったというのには驚きです。

 

細山さん:僕は英語があまり得意なタイプではありませんでした。同級生とうまくコミュニケーションがとれなかったんです。最初は同級生たちも「ちょっとイジってみよう」くらいの感じだったのが、だんだんエスカレートしていって。

 

次第に殴る蹴るの激しい暴力にさらされました。家でふさぎこんでいると、母が「何かあった?」と聞いてくれて。そこで打ち明けると、母はすぐに学校に怒鳴りこんでいきました。

 

── お母さまがすぐに対応してくれたのは大きかったと思います。

 

細山さん:ところが、学校側は何もしてくれなくて…。おそらくですが、その学校は、高い寄付金を払う保護者を優遇していたのかなと。僕の家は寄付金をまったく払っていなくて。それに対していじめっ子の家庭は相当、裕福だったのではないかと思います。マンガみたいな世界です。学校からは「いじめられるほうが悪い」とまで言われて…十数年前のことですから、今ほど社会的にも、いじめに厳しい目を寄せられていなかったのかもしれません。

 

両親は学校の態度に激怒し、「こんなにひどいところは通う必要はない」と、すぐに転校させてくれました。ひとつの場所で頑張らなくていい、逃げてもいいと教えてくれたことは、本当にありがたかったです。結局、いじめが原因で小学校を3回転校しています。自己肯定感が失われる、とてもつらい日々を過ごしていました。